おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第七話~

今回は、おにぎり屋たんと【事業拡大編】第7話。

 

初めてご覧いただく方は是非

おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話

からどうぞ。

 

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「はい、もしもし。小町でございます。」

 

鳴り続ける電話の受話器をあげて、耳にあてると一時期の交流で

すっかり馴染み深いものとなった声が聞こえてくる。

 

『もしもし、久保田会計事務所の海苔巻です。お久しぶりです、小町さん。』

 

その後お変わりはありませんか?

 

そう尋ねる声の主は。

確定申告より少し前の時期。まだ寒い季節の頃。

帳面の付け方に困って頼った先の会計事務所さんでお世話になった

海苔巻さんだった。

 

「あ、どうも。お久しぶりです!海苔巻さんもお変わりはありません?」

 

こんな感じで、相談ごとが終わった後も海苔巻さんは時々心配して

電話をかけてきてくれていた。

なので、以前の様に事務所に出向くことはなくても

縁は切れずに今もずっと疎遠になることなく続いていたりする。

 

『はい、巷で大流行だったインフルエンザにもおかげさまでかかることなく

なんとか元気にお仕事をさせて頂いていますよ。』

 

笑いを含んだ声で返事が返ってきた。

 

「あー、あれは私もビクビクしていましたよ。」

 

なんせ食べ物を扱う店なだけに、食中毒は言うまでもなく。

人にうつる病気も風評被害の元だ。

かなり神経を使って、インフルエンザにかからないように注意を払っていた。

 

『お互いなんとか免れたようで良かったですね。

けれど、以前ほど騒がれていないだけで、

確実に感染者数は増えて未だに流行中であることはお忘れ無く。』

 

「え、そうなんですか?」

 

ああ、けれど。言われてみれば・・・・。

新聞やニュースで大々的に報じられることは減ったけれど、

小さな記事などで「感染者数○千人突破」などという見出しを

見たような気がする。

 

『はい、ですから気を緩めた途端・・ばたん、キュー。

という事態にならないように小町さんも気をつけてくださいね。』

 

「・・う、そうですね。はい、気をつけます。」

 

確かに、それでは今までの頑張りが水の泡だ。

信用や安全性といったものは得るのも難しいが取り戻すのはもっと難しい。

 

『お互いがんばりましょう。

・・さて、では世間話はこれくらいにいたしまして。

その後お商売の方は特にお変わりはなく、順調でいらっしゃいますか?』

 

毎回恒例となった海苔巻さんのこの「お困りのことはありませんかコール」。

いつもなら大丈夫ですよ、と報告するのだけれど。

 

「ええっと、ですね。実は今考えてることが一つありまして・・。」

 

電話口から、おや?という気配が伝わってくる。

 

『そうなんですか。それはお聞かせ頂いても?』

 

まだ構想中で、人に聞かせられるほどしっかりしたものではないのだと言うが・・

 

『それでも構いません。差し支えなければ聞かせて頂けないでしょうか。』

 

少し迷ったものの、結構今回の思いつきには自信があった。

けれど、新しい事を始めるのにはやはりどこか不安もつきまとう。

ならば、海苔巻さんに「大丈夫」とお墨付きをもらえれば安心なんじゃないか。

そう思って。

 

「・・・わかりました。」

 

私は、簡単に一連の流れと自分の思いついたことを

海苔巻さんに話すことにしたのだった。

 

第8話へ続く 

 

税理士法人 久保田会計事務所                           

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