2009年10月アーカイブ
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第二十話~
『ははは、すみません。そんなに驚かれるとは思わなくて・・』
全然すまなさそうな顔でにこにこと海苔巻さんが謝るのでちょっと笑ってしまう。
「・・もうっ、ちゃんと順を追って説明してくださいよ・・・」
『はは、了解しました。では・・・こちらのメモを見て頂けますか?』
指示された通り、視線をメモに落とす。
++++++++++++++++++++
【ランチ】
・@550円/食
・一日に4人/件→20件くらい見込みあり?(オフィス街など)
・バイト(配達要員)4人
・バイト代→@900円(1日8時間くらい)→1人あたり7,200円/日
・キャノピー(配達車両)×2台 *中古車で一台20万くらい
・自転車(配達用)×2台 *中古車なら1台1万以内
・ガソリン代などの雑費 3,000円くらい?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【売上】550円×(20件×4人)=44,000円/日
【材料費】44,000×30%=13,200円/日
【人件費】900円×8h×4人=28,800円/日
++++++++++++++++++++
『とりあえず、このメモにある配達用の車両については
今は忘れてください。
車両関係で日々の経費として計上するのはガソリン代。
それだけにしておきましょう。』
確かに。これは一時的な支出?だし・・。
一日やそこらの売上で埋められるものでもないし・・。
どっちにしろ、私が個人的に懐からお金を出すことになるんだから、
日々の経費として計上して売上を逆算する計算?に含むのはおかしい。
『では、次に・・。と、このままだとちょっと見づらいので
必要な数字だけ抜き出してみますね。』
先程からの度重なる訂正に次ぐ訂正で、
メモが随分ややこしくなってしまっていたので
その申し出は正直有り難く、私は一も二もなく頷いた。
+++++++++++++++++++++
【固定費】→人件費+雑費
人件費:900円×8h×4人=28,800円/日
雑費(ガソリン代など):3,000円/日
→28,800円+3,000円=31,800円/日
+++++++++++++++++++++
・・・・随分シンプルになったなぁと新たに書き起こされたメモを眺める。
というか、これだけが必要な数字・・・?
固定費ってなんだろう?
材料費はいいのだろうか??
色々な疑問が脳裏を駆けめぐる。
『では、改めて説明を始めましょうか。』
「はい、よろしくお願いします。」
とりあえず、順を追って説明を聞けばわかるはず。
そう思い、一言一句聞き逃すまいという姿勢で挑む私なのだった。
第21話へつづく。
改正労働基準法Ⅲ
労務事業部です。
今回は、前々回に改正内容の③としてあげていた
「年次有給休暇の時間単位取得」について
お話させて頂きます。
改正内容を順番にお話させていただいてきましたが、最終項目となります。
現行では、年次有給休暇は『1日単位』で取得すること
とされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、
1年に5日分を限度として『時間単位』で取得できるようになります。
これは正社員だけでなく、
所定労働日数が少ないパートタイム労働者の方なども、
労使協定を締結すれば、『時間単位』で取得できるようになります。
1日分の年次有給休暇が何時間分の年次有給休暇に当たるかは、
労働者の所定労働時間をもとに決めることになりますが、
詳細は法改正の施行までに厚生労働省令で定められることとなっています。
今回の改正では、15分や30分といった
1時間に満たない単位での取得は認められていません。
所定労働時間が、7時間や8時間の会社なら問題はないとしても、
すべての会社がキリのよい時間とは限りません。
例えば、7時間30分の所定労働時間ではどうなるのでしょうか?
分単位での取得が認められないとなると、
時間単位取得をする場合、30分残ってしまいます。
この30分を切り捨ててしまうと、労働者不利益となってしまうので、
切り上げなければなりません。
(労働基準法施行規則24条の4第1号)
これをふまえて考えると、
7時間30分を切り上げて8時間
その5日分ということで、8時間×5日=40時間の時間単位年休が
取得できることとなります。
取得単位は、「時間」を単位とするものであれば、
必ずしも1時間単位でなくても差し支えはありません。
『2時間』、『3時間』のように1時間よりも大きなかたまりの単位で
取得することも可能ですが、
その場合は1日の所定労働時間を上回ることはできません。
例えば、1日3時間勤務のパートタイム労働者を雇用している会社では、
原則4時間単位の取得を定めてはいけないということになります。
この年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、
労働者が自由に選択することができます。
(ただし、労働者が1日単位で取得することを希望した場合に、
使用者が時間単位に変更することはできません)
「年次有給休暇の時間単位取得」は、通院やその他の用事などで、
数時間の年次有給休暇の取得を求めていた労働者にとっては、
プラスになる改正内容だと思います。
仕事と生活の調和を図るという観点からも、
実施にむけて検討されてはいかがでしょうか。
【労使協定の例】
(対象者)
第1条 すべての労働者を対象とする。
(日数の上限)
第2条 年次有給休暇を時間単位で取得することができる日数は5日以内とする。
(1日分の年次有給休暇に相当する時間単位年休)
第3条 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、
1日分の年次有給休暇に相当する時間数を8時間とする。
(取得単位)
第4条 年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、
1時間単位で取得するものとする。
モラトリアム(返済猶予制度)
いよいよ、民主党政権の目玉施策の一つ、
中小企業の借入金を一時返済猶予する制度の概要が固まりつつあります。
いわゆるモラトリアムです。
亀井大臣が就任直後より突如発表され世間をあっと言わせた政策です。
現在、判っている法案では、
①一律に中小企業に対する銀行借入を返済猶予するものではない。
②銀行などの金融機関には、その実績、状況を報告させ、公表する。
③返済猶予する貸付金には、万が一貸倒た場合に政府の保証をつける。
その保証割合は40%とする。
④すでに緊急融資など、信用保証協会の保証を受けているものは、
今回の保証対象から除く。
⑤政府保証は信用保証協会を通じて行い、保証料は2.2%とし、
借り手である中小企業が支払う。
⑥金融機関は保証対象となった借入金について、
金利は低い優遇金利を適用すること。
従来の保証制度では、保証割合は80%のところ、40%となるため、
金融機関の貸倒リスクは高まり、中小企業は2.2%と
高い保証料を支払い、政府は40%の保証をすることで、
三者みんなで損を分け合うことになりそうです。
当初はなんでもかんでも返済猶予されると思われていましたが、
実際には、金融機関、中小企業の双方にとって
かなりハードルが高い気がします。
また、報道はされていませんが、
通常は、返済猶予先には新規融資はできないことになります。
従って、高い保証料を支払って、返済はストップできても、
期中の運転資金が不足する危険性が十分あります。
どの程度実行されるのかわかりませんが、
果たしてこれで本当に中小企業対策になるんでしょうか?
少し疑わしくなってきましたね。
税理士法人 久保田会計事務所
税理士 久保田博之
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第十九話~
『さて、それでは・・まずは最低でもどれくらいの売上があれば良いのか。
それを調べることにしましょうか。』
にこにこと海苔巻さんが言う。
私はやや緊張しつつ頷いた。
++++++++++++++++++++
【ランチ】
・@550円/食
・一日に4人/件→20件くらい見込みあり?(オフィス街など)
・バイト(配達要員)4人
・バイト代→@900円(1日8時間くらい)→1人あたり7,200円/日
・キャノピー(配達車両)×2台 *中古車で一台20万くらい
・自転車(配達用)×2台 *中古車なら1台1万以内
・ガソリン代などの雑費 3,000円くらい?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【売上】550円×(20件×4人)=44,000円/日
【材料費】44,000×30%=13,200円/日
【人件費】900円×8h×4人=28,800円/日
◆1日あたりの利益◆
44,000円-(13,200円+28,800円)=2,000円/日
*2,000円-3,000円(雑費)=△1,000円
++++++++++++++++++++
色々と修正の加わったメモに目をおとす。
商品や、商品を売るためにかかる経費の合計分が売上と引き分ければ・・
それが足がでない最低ライン・・?
とすれば単純に考えて、全部の経費を足した金額よりも
売上が上回れば良いってことで・・。
そんなことをうんうん考えていると、海苔巻さんが取り出した電卓で
カタカタと・・・ブラインドタッチ(電卓でもそう言うのか分からないけど)で
何やら計算をし始めた。
その手つきをすごいなぁ・・・なんて思いながら眺めていると。
『・・・ふむ。こんなものですかね。』
そんな呟きと共に提示されたのは【45,428】という謎の数字。
電卓に表示されたその金額から目を離すと
ちょっと困ったように海苔巻さんを見た。
「・・・えっと。これは何の金額ですか?・・あ。経費の合計・・とか?」
暗算だが、人件費や雑費、材料費などを加えた金額がそのくらいな気がしたのだ。
『はは、似た様なものですが残念ながら違います。
これは・・先程お話した最低ラインの【売上】ですよ。』
「ええっ・・!そ、そうなんですか・・・?」
説明すっとばしていきなり答えですかっ!?とばかりに海苔巻さんの顔を見る。
しかし、その表情は・・・やっぱりにこにこしていたのだった。
第20話へつづく。
改正労働基準法Ⅱ
労務事業部です。
今回は、前回改正内容の②としてあげていた
「割増賃金引き上げなどの努力義務」
についてお話させて頂きます。
今回の改正により、企業規模にかかわらず、
「割増賃金引き上げなどの努力義務」が
労使に課されることになります。
具体的には、
「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示
第154号:限度基準告示)により、
例えば、1ヶ月に45時間を超えて時間外労働を行う場合、
あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定(通称「36協定」)
を締結する必要がありました。
改正労働基準法では、新たに、
(1)特別条項付きの時間外労働協定を締結する場合は、
月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
(2)上記(1)の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
(3)月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること
(※今後、法改正の施行までに、限度基準告示が改正される予定です。)
という3点が必要となります。
時間外労働の限度基準において定める『限度時間』、
『特別条項付きの時間外労働協定』。
普段あまり耳にしない言葉なので、
なんのことだろうと思われる方もいらっしゃると思いますので、
簡単にご説明させて頂きます。
『限度時間』→ 労使協定を結べば、1ヶ月45時間、
年間360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は1ヶ月42時間、
年間320時間)を上限として働かせることができる。
『特別条項付きの時間外労働協定』→ 臨時的に特別な事情がある場合
に限り、この協定を結ぶことで、限度時間を超えて働かせることができる。
この改正により、率を引き上げる場合は、
就業規則などの変更が必要になってくるなど、
今まで以上の細かな労務管理が求められるようになります。
現段階では、この論点については努力義務のため、
多くの会社は現行通りの率に据え置くと考えられますが、
いつ義務化されるかわかりません。
今すぐとはいかないまでも、対応できる環境作りを
目指してみてはいかがでしょうか?



