けいえい知っ得: 2009年7月アーカイブ

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第六話~

今回は、おにぎり屋たんと【事業拡大編】第6話。

 

初めてご覧いただく方は是非

おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話

からどうぞ。

 

ひょんなことから配達をサービスで始めた小町さんでしたが・・・。

その後、どうなったのでしょうか・・・・?

 

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あれから数日が経ち。

ご近所付き合いの場である井戸端会議で広まったのか、

問い合わせの電話が数件ではあるが、

かかってくるようになった。

 

中には配達します、とどこにも出していないにも関わらず初めから

配達での注文を希望してくる人もいて・・・。

初めは仕方なくで引き受けたことだったが、

徐々にその気になってきた自分がいた。

口コミで、これだけ反応があるのなら・・・もしかして?

と思ったのだ。

 

「・・・えーと・・。もし商売にするとして・・

やっぱり必要なのは『足』と『人手』かなぁ・・。」

 

店じまいのあと。本日分の帳面つけも終えてのささやかな自由時間。

私は、本格的に「配達サービス」について考え始めていた。

 

店番は今までは家族が、手伝える時にだけ来てくれていたが・・・・。

注文を受けるとなれば、常に誰かがいなければいけなくなる。

となれば。

店番を自分でして配達は「バイト」を雇って行うのがいいのだろうか・・。

見知らぬ人に店番はやはりちょっと抵抗があるし。

 

「あと、どこまで回るかやなぁ・・・。」

 

地図とにらめっこをしてうーん、と唸る。

会社さんから注文が入ったら結構大きいと思うし・・。

オフィス街は配達地域にいれるべきだろう。

 

「・・・そういえば。自転車ではしんどいかなぁ・・。」

 

南はともかく北方面は登りになるので自転車では大変かもしれない・・。

それに、時間もかかってしまう。

ピザ屋と対決しようとまでは思わないが・・。

 

「・・・・・・バイク・・いるやろうか・・。」

 

これはちょっと痛い出費かもしれない。

採算が取れると確証があれば、今は厳しくとも・・と思うが・・

 

(いける・・?

・・・いや、でもなぁ・・そんなに甘くは・・

でも、これだけ反響があるなら・・。)

 

ぶつぶつと独り言を呟いて。

ああでもない、こうでもない、と

自分で立てた計画を紙に書き出していると、

ふいに電話の音が鳴り響いて顔をあげる。

 

考え事を中断せざるを得なくなり、眉をよせたが無視するわけにもいかず。

ひとまず配達のことは頭の隅にやり、電話に出たのだった。

 

第7話へ続く。 

 

税理士法人 久保田会計事務所                           

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五話~

今回は、おにぎり屋たんと【事業拡大編】第5話。

 

初めてご覧いただく方は是非

おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話

からどうぞ。

 

『あんた見たことある顔やな。そこのおにぎり屋さんのとこの子か?』

 

新たに会話に加わった近所の人らしき人に声をかけられた。

 

「あ、はい。そうです。」

 

店は今日は休みなのか、と問うその人に。

 

『そうそう。あそこの子やねんけどな。

今日はうちが頼んでおにぎりを持って来てもろたんよ。』

 

家主が代わりに自慢げにそう返事を返して苦笑する。

 

『へぇ・・よくある配達ってやつかいな。

あんたのとこのおにぎり食べたことないけど、

配達来てくれるなら食べてあげてもええで。』

 

おにぎりの配達、というのが珍しかったせいか

興味をもったらしいその人が笑いながら言う。

 

「ありがとうございます。けど、これは店番が居る時しか出来ないので・・」

 

流石に安請け合いは出来ない、とやんわりと断ろうとしたのだが・・。

 

『そうなん?じゃあ、店番居る時にお願いするわ。

あんたのおにぎりこの人がよう「美味しい」って言うから

食べてみたいねん。』

 

「奥さん方揃って口がお上手やわ。・・・わかりました。

その代わり、気長に待っていてくださいよ?」

 

その後によくよく聞けば、このご近所さんは

色々と事情があってあまり家を空けることが出来ないらしく。

その上、毎日かなり忙しくしているとのことで。

それならば食事の準備も大変だろうと思い、

おにぎり以外に「おばんざい」も店頭に並べていることを伝えれば、

それも欲しいと頼まれた。

 

・・・こうして。

私は期せずしてさらなる配達希望者から

注文を受けることとなったのである。

 

-その夜-

(・・・・・・。

もしかして。これって商売になるんやろか・・・。)

 

そんなことを考える小町さんの姿があったとか。

 

第6話へ続く。 

 

税理士法人 久保田会計事務所                           

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第四話~

今回は、おにぎり屋たんと【事業拡大編】第4話。

 

初めてご覧いただく方は是非

おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話

からどうぞ。

 

 

土間から奥の部屋へと延びる通路の入り口には

藍色ののれんがかかっている。

そののれんをかきわけて声のした方へと進んで行く。

歩く通路は特に枝分かれしている訳でもなく、迷うことはない。

天窓から差し込む柔らかい光で明るく照らされていて

入り口ほど暗くもなく気持ちが良かった。

程なくして進んだ先、昔はおくどさんだったのだろうその場所には

今は台所がしつらえてあり、そこに目指す人物が立っていた。

いや、正確にはしゃがんでいた。

 

『ああ、ごめんなぁ。

今漬け物の様子を見ててな?手が離されへんかったんよ。』

 

そういう奥さんは笑いながらぬか床を混ぜている最中で。

側には今取り出したらしい胡瓜や茄子や人参が皿に盛られていた。

 

「わぁ、美味しそうですねぇ。奥さんずっと漬けてはるんですか?」

 

手にしていたおにぎりを一言断ってから部屋の上がり口に置くと、

目線を合わせるようにしゃがんでぬか床に目をやった。

 

『そうなんよ。お嫁にきた時に持たされてな?

それ以来ずっと漬け物は自分で漬けてるんよ。

ぬかの管理は生き物みたいなもんやから、大変やけどな。

自分の味って感じがして好きやねん。』

 

得意げに語るお馴染みさんの話にへぇ~、

と感心するように相づちをうった。

私もおにぎりの具に自家製の漬け物を使っているが、

実はそれは母のもの。

少し時間に余裕が出来たら、やりかたを教わって

自分で作ってみようかなと考える。

 

『市販のもんでも美味しいのあるけどなぁ・・。

最近ほら・・・色々あったやん?』

 

からからと笑うお馴染みさんの言葉に頷く。

うちの母も同じことを言っていたからだ。

 

『そんなんもあったからか、それやったら地元の野菜を使って

自分で作るほうが安心やんって余計に思うようになってん。

おねえちゃんのとこも具にえらい拘ってるやろ?

そやからあんたのとこのおにぎりは安心して食べれるし好きやで?』

 

「もう、いややわぁ。奥さん、

今褒めたって持って来た以上のおにぎりは出されへんのに。」

 

おおきに、と言いながら照れ隠しに軽口を叩く。

・・・・確かに、安全な食というものが求められているし。

一時期はおにぎりの具材にこだわりすぎだろうか

と色々悩んだこともあったけど。

無駄じゃないって言ってもらえたようで・・認めてもらえたようで嬉しかった。

 

そんな感じで配達に来たというより井戸端会議をしに来た状態になっていると。

 

『なんや、あんた居るやないの。返事くらいしよし。

外から声かけてるのに全然反応ないから勝手にあがらせてもろたで?』

 

さらに、近所の人が会話に加わることとなったのだった。

 

第5話へ続く。

 

税理士法人 久保田会計事務所                           

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第三話~

今回は、おにぎり屋たんと【事業拡大編】第3話。

 

初めてご覧いただく方は是非

おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話

からどうぞ。

 

 

馴染みのお客さんに思いがけず「おにぎり」の配達を頼まれた小町さん。

あれからどうしたのでしょうか・・・?


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「おおきにー。おにぎり屋たんとです。

こんにちはぁー。奥さんいはりますかー?」

 

昔ながらの古い家屋と新築の近代的な建物が並ぶ、

どこにでもあるようなとある町内。

その一角に軒を並べる一件の町家へ私は足を運んでいた。

 

勝手に引き戸をがらがらと音を立てて開けると奥へと直接声をかける。

京都・・というか私の住んでいる付近では

少なくともあまり玄関に鍵をかけない。

特に暑い季節は戸を開け放して風の通りを良くしたりするし、

玄関付近の部屋で腰を下ろして近所の人とおしゃべりをしたり、

家の外に置いた木で出来た長いすで囲碁をするおじさん達の姿もある。

 

不用心と思う人もいるかもしれないが、私はこういう所が好きだ。

 

最近では「京都らしい」建物は

どんどん取り壊されて随分姿を消していて、

古き良き時代の町並みはどんどん変わっていっている。

子供の頃に馴染んでいた光景もかなり様変わりしてしまった。

 

勿論、その一方で町家保存会の人達が尽力して

町屋の改修をしたり、地方から町家に住みたいと

探しに来た人の為に、町家の持ち主との間を取り持ったりと

色々な試みはされているが・・・・。

古い物が壊されて新しいものが建つ方が

今はまだ早い様に思えて・・少し寂しく感じる。

だから、こういう家が残っていることが素直に嬉しい。

 

新築でも外側の外見だけでも和風にしてくれたらいいのに・・

とは実は密かに思うこと。

海外ではそういう義務づけのある国が多いと知った時

はちょっと羨ましく感じた。

その裏側にはそこに住む人の色々な苦労があるとは思うが・・・。

いつまでも、昔ながらの町並みがそこにあるというのは

素敵なことに思えたから。

 

だから将来、もしきちんとしたお店が持てたら外観は京都らしい、

町並みに沿った建物にしたいと考えていたりする。

 

(・・・・・・あくまで、今のところは夢だけれど。)

 

今はそれに向かって頑張る時期だ、と気合いをいれていると、

町家ならではの「うなぎの寝床」と言われる

奥にながーい造りの通路から声が聞こえてきた。

 

『はぁーーーーーーーい。奥にいるから入ってきてくれるかーーーー?』

 

「はぁーーーーい!分かりました。今からそっちへ行きますーーーーっ」

 

奥へ聞こえるように返事を返すと、声のした方に向かうことにした。

 

第4話へ続く。 

 

税理士法人 久保田会計事務所