けいえい知っ得: 2010年6月アーカイブ

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十四話~

今回の  おにぎり屋たんと【事業拡大編】  第54話。

 

初めてご覧いただく方は

是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。

 

今回も引き続き、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為に

どうすればいいのか考えてみましょう。

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「・・・さっき、認知度が高まればって言いましたよね?

じゃあ、一回の注文で1000円以上のお客様には配達料は無料、

というようなサービスなども取り入れたりすると

利用してもらいやすいでしょうか?

あ、勿論。やるならきちんと計画を立てた上で、ですが。」

 

ふと、思いついたことを口にする。

それによって採算がとれなくなっては意味がないが、

以前立てた計画に見られるようなどんぶり勘定ではなく、

きちんとした試算に基づいて考えてから判断すればいいことを

今は分かっている。

 

思いつきは大切だが、実行できるかどうかはまた別の問題なのだ。

 

『はは、そうですね。そういったサービスをお客さまが良い

と感じてくれればクチコミでも広まるでしょうし、

そういった【宣伝】はプライスレスな上に効果が高いですから

ある意味、一石二鳥かもしれませんね?』

 

どこかのCMのようなフレーズで海苔巻さんが言ったので思わず笑ってしまう。

しかし同時にリスクが高いことも理解していた。

 

「ふふ、そうそう想い出と一緒でプライスレスなんです。

とはいえ、クチコミも良いことばかりではありませんけどね。」

 

『確かに。せっかく利用してもらっても商品自体に不満が高かったり、

対応に不備があるとそれも広まってしまいますからね。』

 

すぐに想像がついたらしく、海苔巻さんが表情を改めた。

お客さまの目は厳しい。

だからこそ、お客様の視点を忘れてはならないのだろうと思う。

 

「はい。だから日々精進ですね。

特に、商品に問題があるとは絶対に言わせたくないんで!」

 

思わず握り拳で力説すれば、海苔巻さんも頷いて。

 

『経営計画も、それに関する知識も確かに必要なものですが

一番大切なのはそう言った想いや理念なのでしょうね。

小町さんの先行きがとても楽しみですよ。』

 

「あはは、でも海苔巻さんには私が空回りしないように

ブレーキをお願いしたいです。」

 

ここへ来た当初は自分の穴だらけの計画に

あれほど落ちこんでいたのに、今ではそれが嘘の様にどうすればいいか、

と考えることが楽しいと思えた。

 

勿論、立てた計画の通り事がうまく運ぶなんてことは

そうそう無いのだとしても、自分に必要なこと、するべき事が何なのかと

知ることが出来るのは非常に有り難い。

 

そしてここへ来たばかりの自分の様に

その場の思いつきで安易にあれこれ挑戦してしまうリスクを

回避できることは大きな利点なのではないだろうか。

 

承知しました、とにこやかな笑みを浮かべる海苔巻さんを見ながら

私は『計画を立てる』ということの重要性を改めて再認識したのだった。

 

第55話へつづく。

税理士法人 久保田会計事務所

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十三話~

今回の  おにぎり屋たんと【事業拡大編】  第53話。

 

初めてご覧いただく方は

是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。

 

今回は、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為に

どうすればいいのか考えてみましょう。

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『はい、小町さんのその考え方はどこもおかしくありませんよ。』

 

よほど私は自信なさげだったらしい。笑いを含んだそんな返事が返ってくる。

海苔巻さんの反応を見る限り、どうやら駄目出しはされずに済みそうだった。

 

『経費の削減に加えて単価のUPは勿論、有効でしょう。

・・・小町さんの理解度を知るためと、経費の削減に移る前の話を

思い出してもらうという意味も含めての質問でしたが・・・

いやはや、これはどうやら失礼な質問だった様ですね。』

 

にこにことそんな風に言われれば悪い気はしない。

しないが、こうやって考えることができる様になったのは

目の前に座る人物のおかげだと思っている。

 

「きっと・・きちんと頭に内容が残っているのは話が理解できたからです。

つまりは海苔巻さんの説明が良かったから、ですよ。

・・・・と言っても。忘れそうなのでこうやってメモも取ってますけどね?」

 

笑って見せたのはメモの束。

次にまたこうした機会があればノートにすべきだろうか

とちょっと考えてしまう程度には厚かった。

 

『はは、では私の努力と小町さんの努力の賜という訳ですね。』

 

笑みを浮かべる海苔巻さんにつられて私も笑う。

 

『あとは・・付け加えるとするなら、年間の販売数を伸ばす方法でしょうか。

単価UPのお話と一緒に少しお話したと思うのですが・・・。』

 

覚えていますか?と問いかける視線を受けて少し考える。

しかし。

 

「ええと・・・・ちょ、ちょっと待ってください。」

 

なんだったか思い出せず、がさがさとメモを探し出す。

 

『はは、どうぞどうぞ。』

 

慌てる私とは対照的にのんびりとした声が響き、海苔巻さんは優雅に

お茶を飲んでいた。

 

そして数分後。

 

「ええと・・。お客さんの人数・・つまり販売数を伸ばすには

ランチだけではたしか厳しいというお話でしたよね。」

 

当初の自分の計画では経費が利益を上回るという痛い結果に終わっていて・・。

それを逆転させる為にどうしたらいいか、という話の中で聞いた方法だった。

 

『そうそう。ではランチ以外にも・・となると。

何が効果的だと考えられますか?』

 

海苔巻さんが問いかけ、私は答えた。

 

「それは・・・残業食、です。」

 

『はい、そうでしたね、そうしておにぎりの価値を高めることができれば

集客力のUPにも繋がると思われます。』

 

「ええ。忙しい合間でも手軽に食べられるおにぎりは

夜食として最適だと私も思いますし、提案をお聞きして

実際にやってみるだけの価値はあると思いました。」

 

ランチだけでなく残業食にも対応となると、

さらにそこには人件費や諸々の経費がかかってくるわけなので、

計画の大幅な見直しは必要となってくるだろう。

しかし、うまく軌道にさえ乗ってくれれば・・・得るものは大きい、と思う。

 

『出だしから好調とはなかなか難しいものはあるでしょうが、

お客さんの間で認知度が高まれば、

利用者も増えるのではないかと思いますよ。』

 

なんとかは1日にしてならず、という所だろうか。

商売には忍耐力というものも必要なのかもしれないなぁと

思いながら頷いたのだった。

 

第54話へつづく。

税理士法人 久保田会計事務所

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十二話~

今回の  おにぎり屋たんと【事業拡大編】  第52話。

 

初めてご覧いただく方は

是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。

 

今回は、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為に

どうすればいいのか考えてみましょう。

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『それでは、小町さんに納得頂いたところで・・・。

1つ復習を兼ねた問題を出してみましょうか。』

 

「問題・・・・。」

 

『はは、そんなに固まらないでください。とはいえ、

ただ「○○とはなんですか?」と尋ねるのではひねりがありませんので

問題というよりは質問に近いですけどね。』

 

(・・・別にひねらなくてもいいのに・・。)

思わず心の中で呟く。

なんだか大学の卒業試験での質疑応答を思い出して

私の方にだけ一方的に緊張が走った。

 

『ペナルティはありませんからご安心を。気楽に考えてください。

では・・・。今まで売上を伸ばす為、利益を伸ばす為、

色々な方法についてご説明させて頂いた訳ですが・・・。

それ以外で何か、小町さんなりにこうしたらいいのではないか、

と思いつくことはありますか?』

 

「私なりに、・・ですか?そうですね・・。」

 

それは応用問題といった感じの問いかけだった。

ただし、試験の様にこれらに決まった正解は無いはずで

海苔巻さんの言うようにペナルティが課せられる訳でもない。

例え突拍子もない事を言ったとしても良い点は良い、悪い点は悪い、

ときちんと指摘してもらえるのだからと経営初心者なりに考えてみることにした。

少し記憶を巻き戻し、受けた説明を反芻する。

 

「利益を上げる方法としては、包装費等の変動費の削減や

人件費のような固定費の見直しがあって・・・

それ以外には・・・あ、確か包装費の話に移る前に単価をUPさせる、

というお話もされていましたよね。」

 

『はい、そうですね。』

 

海苔巻さんが頷いて肯定する。

それを見ながら頭の中を整理して答えを探した。

 

「サイドメニューを増やすっていう提案でしたっけ。

・・・あれも一緒に考えるともっと効果あるんじゃないかな、

とか・・・思いました。」

 

あの時は確か売上は【単価×人数】で考えられるから・・・。

単価をUPさせる方法と、お客さんの人数を増やす方法を考えると

効果的ですよ、という話を聞いたのだったと思う。

途中から経費の削減の方へ話が移ってしまったので、

少し記憶は曖昧だったが間違いではないはずだ。

 

今の私が出した案は、特別ずばぬけて素晴らしいというものでは無かったが

これから経営者として成長できればいつか、相手を唸らせるような提案を

できる様になるんだろうか?

 

・・そんなことを思いながら出題者の駄目出しという名の判定を待ったのだった。

 

第53話へ続く。

税理士法人 久保田会計事務所

おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十一話~

今回の  おにぎり屋たんと【事業拡大編】  第51話。

 

初めてご覧いただく方は

是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。

 

今回は、変動費と売上の関係について学んでいきましょう。

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『そうそう、小町さんの仰るとおりです。

固定費の削減では減らすのに成功した分しか

利益として反映しませんが、変動費の削減では

固定費を減らすのに成功した分以上の利益が

場合によっては見込めるということなんです。

だんだんのみこみが早くなってこられて嬉しい限りですよ。』

 

教え甲斐があっていいでしょう、などと軽口を叩いたが

気になるフレーズがあったのでついでに質問をしてみることにした。

 

「さっき海苔巻さんは、成功した分以上の利益が

『場合によっては』見込める、と仰いましたが

どういうことなんですか?」

 

『これはこれは・・・本当に教え甲斐のある生徒さんですね。』

 

どこか嬉しそうな様子で海苔巻さんが口を開く。

 

『つまりですね、変動費の削減の場合は

売れなければ意味が無いんですよ。

売れ行きが良くて売上が伸びればその分どんどんと

利益は削減成功分の+αを加えた状態で増していきます。

しかし、例えば梅雨の時期などで

お店に直接来店されるお客さまが減ってしまったとしましょう。

すると、いくら経費を削減したと言っても

利益への貢献度合いは低いままということになりますよね。』

 

「・・・ああ、それで『場合によっては』と仰ったんですね。」

 

なるほど、と納得する。

 

『はい。ちなみに・・・。この図式をさらに分解するとですね・・・。』

 

そう言うと、海苔巻さんが新たに何かを書き加えていき。
次の様な式を目にすることになった。

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【おにぎり価格に対して2%のコストダウン成功=

                                    おにぎりの年間売上×2%の利益貢献】

                  ↓

【おにぎり価格に対して2%のコストダウン成功=
             (おにぎり単価×おにぎり年間販売個数)×2%の利益貢献】

     ※注意→%の数値は変動します。
──────────────────────────────────────────

「・・ええと・・?おにぎりの年間売上の所を

さらに詳しく書かれたんですか?」

 

『はい、そうなんです。このように売上を構成する

1つ1つの要素を明確にして理解することで

今現在、売上や利益をあげる為に自分が出来ることは何か

ということが考えやすいのではないかと思いまして。』

 

「・・と、いうと・・?」

 

『少し説明が漠然としてしまいましたか。

つまりですね、簡単に言えばこの図で表している通り年間売上は

(おにぎり単価×年間販売個数)で計上される訳ですよね。』

 

「あ、そうか!わかりました。ということは・・・・

売上を伸ばして利益をUPさせたいと考えるならその2つの要素の

どちらか、もしくは両方について出来ることを考えたり

見直したりすることが重要ということですよね!』

 

どうです?と相手を窺えば。

良くできましたとばかりににっこりと笑みを浮かべた「海苔巻先生」の姿が

そこにあって、なんだか嬉しくなる。

 

『はい、その通りですよ。

ちなみに、ここでは2%のコストダウンに成功した場合を

例として式を書いていますが、おにぎりの単価を上げたり、

下げたりすることで当然この利益貢献の率というものも

変わってきますのでご注意くださいね。』

 

「あ、そうか。そこは変動費の引き下げ率ですものね。」

 

おにぎりの価格に対して何%下げられたか?と考えるのだから

変動して当たり前である。

けれど、自分で自分のうっかりさ加減を自覚しているので

この補足は有り難かった。

(後で、あのメモを貰えないか聞いてみよう。)

 

気をつけます、と頷きながら密かに海苔巻メモを狙う私なのであった。

 

第52話へ続く。
 

税理士法人 久保田会計事務所