けいえい知っ得のブログ記事
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十八話~
『さて、これで小町さんに必要そうな説明は
ほぼすることが出来た様に思うのですが・・
何か他にも疑問に思ったことや
聞いてみたいことなどはありますか?』
言われて少し思い返してみる。
ほとんど思いつきの勢いだけで自分が立てた計画が穴だらけだったことは
海苔巻さんとの会話を通して今ではきちんと受け止めていた。
私がこれからしなければいけないことは・・・
まずは当初の予定通りに新たなサービスとして
「配達」を視野に入れるのなら
新規でかかるであろう経費などをもう一度正しく再考して計上。
その上でどれくらいの売上があれば足が出ないのか
という計算をして1日あたりに必要な売上を把握。
そしてその売上を達成し、利益を生み出す為にはどういう戦略がいるのか。
サイドメニューを増やすのがいいのか、価格構成を見直した方がいいのか。
はたまた経費の削減を先に考えた方が良いのか。
自分の店の現状に合ったものはどれかを探っていかなくてはならないだろう。
・・・というのが今後の大まかな流れだと思う。
(その中で、今自分が聞いておいた方が良い事と言うと・・・。)
後で尋ねるより今の方がいい気がして考え込む。
『・・・別に無理やり聞くことを探さなくていいんですよ?』
気づけばしばし黙り込んでしまっていたらしく、
海苔巻さんが苦笑をもらしながら声を掛けてくる。
「いえ、せっかくの機会なので聞けることは今聞いておこうと思って。」
すみません、と笑うと今度は海苔巻さんも笑ってくれた。
『別に疑問に思ったことがあれば、
いつでも連絡して下さって結構ですよ。
もし外出していても戻り次第こちらからご連絡させて頂きますから。』
今尋ねた方が頭にすっと入ってくるのではないかと思ったというのもあるが・・・
やはり後々何回も電話をして尋ねることになったら申し訳ないと言う気持ちが
どこかにあったのも本当で。
だから、海苔巻さんの口からその言葉を聞くとなんだか心強く感じた。
それと同時に・・自分は1人じゃないと背負っていたモノがふっと軽くなった気がした。
小さな店とはいえ『経営者』なのだから自分が頑張らなければ!
と気負っていた部分が少なからずあったのだと思う。
信頼でき、いざと言う時に家族以外でも頼れる人がいるというのは、
メンタルの部分でも本当に有り難いことだ。
「ありがとうございます。では・・・今日メモにとったことを元にして・・・
もう一度今の自分のお店の経営を見直していこうと思います。
配達を視野に入れるにしろ、その前に一度出来ることは
全てやっておきたいと思いましたし。」
その方法も学ばせてもらいましたから、と笑うと海苔巻さんも
にこにこと頷いて頑張ってくださいと応援をしてくれた。
ここへ来る時も、ある意味やる気に満ちていたけれど
少しばかり足が地についていなかった様に思う。
それが作った計画にも現れていたのだろう。
でも今は違う。
良い意味で現実を知ったというか、目が覚めたというか・・・
今は自分の置かれている位置というものを以前よりは理解出来ている。
長時間根気よく説明をしてくれた海苔巻さんの為にも、今度来るときは
絵に描いた餅じゃない、きちっとした計画を立てて
今日の成果を見せたいと思った。
『小町さんのお店は言わばまだ生まれたての、
けれどこれから沢山の可能性を秘めたお店です。
どんなご希望にも添えるように万全の態勢で私も挑みますから。
一緒に頑張っていきましょう。
今日の様な面談でのお話のやりとり以外でも、
小町さんがもっと知識をつけたいと思われるのでしたら
うちで主催している様々な勉強会もありますし
上手に使って頂ければと思います。』
聞けば短時間、しかもさほど高くない料金で
決算書の読み解き方が分かる様になったり
お店の問題点を財務データから浮かび上がらせて考えたり、
色々教えてもらえる経営に関わる人向けの勉強会なんかもあるらしい。
まだ私には早そうだけれど、もう少し経営者らしくなった暁には
お店のこれからの為にも自分の為にも受けてみたいなと思った。
「はい、ではこれからも海苔巻サポートを宜しくお願いしますね!」
勢いよく頭を下げる。
そして同じように頭を下げた海苔巻さんに見送られながら、
2度目の訪問となった事務所を意気揚々と後にしたのだった。
****************
この度は「おにぎり屋たんと 事業拡大編」に長期間お付き合い頂き、
ありがとうございました。
このお話をもちまして「おにぎり屋たんと」は一度充電期間に入ります。
この後、小町さんがお店をさらに発展させることが出来たのか、
それとも何か失敗をしてしまってお店の継続に奮闘しているのか、
予想はつきませんが、またお目にかかれれば嬉しく思います。
なお、本文にて説明を難しい、分かりにくいと感じられたり逆に
物足りないと思われる方もいらっしゃったかと思われますので
この場をお借りしてお詫び申し上げます。
「たんと」さん以外でも毎週水曜日には各専門部署ごとに
皆様に色々な情報を発信しておりますので
そちらも合わせてお楽しみ頂ければと思います。
それではご愛読、本当にありがとうございました。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十七話~
今回の おにぎり屋たんと【事業拡大編】 第57話。
初めてご覧いただく方は
是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。
前回より引き続き、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為、
さらに売れ筋商品をつくる為
どうすればいいのか考えてみましょう。
++++++++++++++++++++
『小町さんは販売個数を増やす為に提案したことを
覚えていらっしゃいますか?』
「・・え?えっと・・サイドメニューなどを増やしたりして
お客さんの選択肢を広げる・・・でしたっけ。」
煮卵とか、アイスのトッピング等も例として挙げられていたなぁ・・と思い出す。
(あ、お新香も選べる様にしたら面白いかも。)
ふとそんな事を思いつく。
京都といえば漬物が有名で、漬物にうるさい人も多い。
裏を返せばそれだけ漬物好きな人が多いということでもある。
実際するかどうかはともかく何かのヒントになるかもしれないと
メモを取ることにした。
『はは、何か思いつかれたようですね?』
話の途中だった、と慌てて謝るが
別に気分を害してしまった訳ではないらしくほっとする。
『メモはもう大丈夫ですか?では、話に戻りますね。
今から話すやり方はある意味今答えてもらった
サイドメニューと同じ方法なんですよ。』
「・・はぁ、同じ、ですか。」
『はい、つまり・・・。価格にも幅をもたせるんです。』
「・・??」
『では例を挙げて考えてみましょう。
ここに、100円と120円の商品があるとします。
そして、その内の安い方・・・100円の商品だけが売れている。』
まぁ、同じジャンルのものなら特にこだわりが無かったら
安い方に手が伸びるのは想像に難くはなかったので頷く。
『その状態でそこに150円の商品を投入したら・・・どうでしょうか?』
「・・・・あ。なるほど・・・・。」
100円と比べるから120円が高く感じるけれど、
さらにその上があると不思議なもので・・・
今度は100円は安すぎる(=あんまり美味しくなさそうな?)感じがして
120円のおにぎりを買ってもいいかな、と思ってしまう。
『こうすることによって今度は120円のおにぎりは以前よりも売上が伸びると
考えられます。ただし、気をつけないといけないのは全体のバランスです。』
「・・・バランス・・。」
『はい、何故かと言うと安易に売りたい商品よりも
高い値段を適当につけてしまった場合、
下手をすると「ここの店は単価が高い」という印象を
付けてしまいかねないからです。』
「ああ、そうか。
それでお店自体を敬遠されたりしたら本末転倒ですよね。」
そういうことですね、と頷く海苔巻さんに同じように相づちを打ちながら
本当に色々なやり方があるんだなぁ、と私は改めて感じていた。
コストダウンを図る、と一口に言ってもその効果の出方は全く違うものだったり、
知らないことが一杯だったと思う。
(今の私の状況だと・・・何から考えたらいいんやろう?)
そんなことを考えていると海苔巻さんは
少し考えるそぶりを見せた後、こう切り出した。
『今日、小町さんには色々なお話を
例を交えてお伝えしてきた訳なんですが・・。
実の所、本来は会計事務所での専門分野では無い
アドバイスもありました。
今、お話した価格に幅を持たせるというやり方もその1つです。
けれどそれは小町さんが知っていて損は無いと、
知っておいた方が良いと思われることを
私の判断でお話させて頂きました。』
「あ。そうだったんですか。」
突然どうしたのかと少し面食らいつつも、頷いて了承の意を伝える。
『はい。ですので・・・それらはあくまで私が今までお客様のやりとりの中で
見聞きして知った方法であることを念頭に置いて頂けますか?』
「・・・あ、はい。分かりました。」
つまり、『この通りにすればいいんだ!』と聞いたことを鵜呑みにしては
いけないという事だろうか。
会計のプロと経営のプロは似ている様で
やはり畑が違うのだろうと勝手に想像する。
『本来ならもっと初めの方でお断りさせて頂くべきだったのですが、
申し訳ありません。』
ものすごく申し訳なさそうな様子に苦笑を返し・・
「いえ、私が次から次へと質問をしたせいで、
そういう注釈を入れる機会を無くしてしまったのかもしれません。
お聞きしたことは凄く勉強になりましたし、
そもそも専門じゃないと言いつつも教えてくれたのは
今後の私のことを真剣に考えてくれたから、ですよね?
だから気にしないでください。」
『そう言って頂けると恐縮です。
とはいえ・・・専門ではない分野に関しては
軽々しく口に出してはいけないと思います。
それは、小町さんにとってマイナスになってしまうことは
避けなくてはならないからです。
ですが、小町さんをサポートするのは私1人ではありません。
必要があると判断すれば他の専門家の方と連携して、
万全のサービスを提供させて頂きますよ。』
そんな海苔巻さんの心強い言葉に。
「はい!どうぞ宜しくお願いします。」
私はにこりと笑みを浮かべて返事を返したのだった。
第58話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十六話~
今回の おにぎり屋たんと【事業拡大編】 第56話。
初めてご覧いただく方は
是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。
引き続き、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為、
今回はさらに売れ筋商品をつくる為
どうすればいいのか考えてみましょう。
++++++++++++++++++++
「売れ筋商品が無い場合、作ればいいということですけれど・・・。
それってどういうことなんですか?
新作をひねり出してヒットを狙うとか・・・??」
自分で答えておきながら、どうすればいいのかさっぱりで
思わず質問攻めにしてしまう。
『まぁまぁ、どうか落ち着いて。もちろん新作もお客様を飽きさせない
という点で必要な要素なんですが、
今から説明する方法はその類のものではありません。』
「・・・さっぱりです。」
『はは、こればっかりは思いつかなくても仕方がないと思いますので
落ち込まないでくださいね。』
なんという意地悪。
と、私が思ったかはさておき。続く説明に耳を傾ける。
『さて、ではご説明いたしますと・・売れ筋を作る方法とはずばり。』
「・・・ずばり?」
『価格構成の見直し、なんです。』
「・・・・・はぁ。」
明らかに分かっていないオーラを纏った返事を返す。
もちろん、それは海苔巻さんも予想していたらしくさらに説明は続く。
『どういうことか、と言うとですね。価格構成を見直すことによって
売れ筋価格というものを作り上げる、ということなんです。
・・・と、言ってもこれではあまりピンとこないですよね。』
まさにその通りだったのでこくこくと頷く。
『具体的に例をあげてみましょう。
まず、小町さんのお店には100円のおにぎりと
120円のおにぎりが並んでいると想像してください。
単純に考えてやってきたお客さんの多くが手を伸ばすのは
どちらだと思いますか?』
「・・そうですね、やはり安い方でしょうか。」
『はい、私もそう思います。100円のおにぎりばかりが多く出て
120円のおにぎりは売れにくくなり、
その結果として、客単価平均は100円に
近づいていってしまうと予想されます。』
「でもだからといって120円のおにぎりを下げてしまったら
意味ないですよね・・?」
『そうですね。ただ売上を伸ばす為に設定された価格ならば
それもアリでしょうけれど利益を多く出したいのであれば
安易な値下げは止めたほうが良いでしょう。』
「・・ですよね・・・。じゃあ一体どうすればいいでしょうか・・・。」
全く想像が出来ずに首を傾げるばかりでは悔しいのだが、
かと言って考えても分かるはずもなく。
大人しく海苔巻さんの返事を待ったのだった。
第57話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十五話~
今回の おにぎり屋たんと【事業拡大編】 第55話。
初めてご覧いただく方は
是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。
今回も引き続き、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為に
どうすればいいのか考えてみましょう。
++++++++++++++++++++
『ああ、そうそう。
おにぎり単価の見直し、という点で
1つ誤解の無いように言っておくとですね。
数ある商品の1つ1つについて全てを見直せ、
と言っているわけではありません。
もちろん、包装袋のようにおにぎり全般に関わってくる
経費に関しては別ですが。』
帰ったら教えてもらった事を元にもう一度計画を見直して、
それを海苔巻さんに確認してもらって・・などと頭の中で考えていたせいで
思わずきょとん、としてしまう。
「・・・・・はい?」
『すいません、ちょっと唐突でしたか。』
「ああ、いえ。えっと・・・大丈夫です。」
確かに、言われてみれば海苔巻さんの指摘通りで、
一品ごとの単価を見直すものだと漠然と思っていた。
そのことを海苔巻さんに伝えると、
『勿論、小町さんが仰るような1つ1つ見直すという考えも
別に悪いことではありません。
そういった積み重ねも大切なことですから。
しかし、効率を考えた場合そういったやり方は
決して上手い方法だとはやはり言いづらいですね。』
「そういえば・・・単価のUPの方法だって個々にという考え方ではなく
メニューを増やすことによって1人当たりの売上の単価を上げる
という内容でしたものね。」
補足をしてもらえて良かった、と思いつつ首を傾げて。
「・・・あの、なんとなく言わんとすることは分かるような気がするんですけど・・
ちょっとイメージが掴みにくいというか。例えばどういうことなんでしょう?」
『ふむ・・・確かに分かりにくいかもしれませんね。
では・・そうですね、お店でも売れ筋の人気商品に注目してみましょうか。
と、言うわけで。小町さんのお店で一番人気はなんでしょう?』
「え?そうですね。今は『めんたいこ』が人気でしょうか。」
『なるほど。ではその「めんたいこ」は
他の商品の「こんぶ」や「おかか」よりも
少し値が張る割に安定した数で毎日売れていると考えてください。』
小さく頷く。
実際にそんな感じなので想像するのは簡単だった。
『次にその商品にしぼって何か見直せないか、
出来ることはないかと考えるんです。』
「・・・ああ、なるほど・・。1つ1つを見ていくのではなく、
まずは全体を見るんですね。」
主力商品で何か1つでも見直せる点があり、
今までと変わらず売れてくれれば大なり小なり
確実に利益は上げられるだろう。
1つ1つの見直しはそういうのをやりきった後でもいいのかもしれないな、
と納得してうんうんと頷いた。
『そうなんです。あ、ちなみに。今の例だと売れ筋商品ありきなので、
経費の削減が頭に浮かぶ訳ですが・・
もし、「これ!」という主力商品が無かった場合は
どうしたら良いと思いますか?』
「・・え。無い場合、ですか・・・・。」
・・・またなんだか難しい質問がやってきたなぁとしばし考え込む。
・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・。
「・・・えっとですね・・・。すいません。頑張って人気商品を作るとか
そういう答えしか浮かびませんでした・・・。」
やっとのことで口を開くも出てきたのはお粗末な答えのみ。
さぞや呆れられていることだろうとそっと海苔巻さんを窺うと・・
「・・・あれ。」
何故かにこにこ笑顔だった。
『・・おや、どうなさいましたか。』
「い、いえ・・もっとなんとも言えない表情をされてるかな、
と思いまして・・。」
素直に白状する。
どうせ顔に出ているのだからごまかすだけ無駄である。
『あはははは、そんな顔しませんよ。
だって、小町さんの答えで正解なんですから。
勿論、それは最終的な目的地であってそこに至る手段ではないので
100点満点ではありませんが。』
「えええええ!そ、そうなんですか?と、いうか。
持ち上げておいて最後に落とすのはやめてくださいよ・・・。」
うらめしそうに相手を見るが、すでにこういうやり取りに
慣れてしまったので難しい顔は長く続かず。
『では今度はその手段についてお話していきましょうか。』
海苔巻さんもあっさりと次の説明へと移ったのであった。
第56話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第五十四話~
今回の おにぎり屋たんと【事業拡大編】 第54話。
初めてご覧いただく方は
是非 おにぎり屋たんと【事業拡大編】第1話 からどうぞ。
今回も引き続き、売上を伸ばす為、利益を伸ばす為に
どうすればいいのか考えてみましょう。
++++++++++++++++++++
「・・・さっき、認知度が高まればって言いましたよね?
じゃあ、一回の注文で1000円以上のお客様には配達料は無料、
というようなサービスなども取り入れたりすると
利用してもらいやすいでしょうか?
あ、勿論。やるならきちんと計画を立てた上で、ですが。」
ふと、思いついたことを口にする。
それによって採算がとれなくなっては意味がないが、
以前立てた計画に見られるようなどんぶり勘定ではなく、
きちんとした試算に基づいて考えてから判断すればいいことを
今は分かっている。
思いつきは大切だが、実行できるかどうかはまた別の問題なのだ。
『はは、そうですね。そういったサービスをお客さまが良い
と感じてくれればクチコミでも広まるでしょうし、
そういった【宣伝】はプライスレスな上に効果が高いですから
ある意味、一石二鳥かもしれませんね?』
どこかのCMのようなフレーズで海苔巻さんが言ったので思わず笑ってしまう。
しかし同時にリスクが高いことも理解していた。
「ふふ、そうそう想い出と一緒でプライスレスなんです。
とはいえ、クチコミも良いことばかりではありませんけどね。」
『確かに。せっかく利用してもらっても商品自体に不満が高かったり、
対応に不備があるとそれも広まってしまいますからね。』
すぐに想像がついたらしく、海苔巻さんが表情を改めた。
お客さまの目は厳しい。
だからこそ、お客様の視点を忘れてはならないのだろうと思う。
「はい。だから日々精進ですね。
特に、商品に問題があるとは絶対に言わせたくないんで!」
思わず握り拳で力説すれば、海苔巻さんも頷いて。
『経営計画も、それに関する知識も確かに必要なものですが
一番大切なのはそう言った想いや理念なのでしょうね。
小町さんの先行きがとても楽しみですよ。』
「あはは、でも海苔巻さんには私が空回りしないように
ブレーキをお願いしたいです。」
ここへ来た当初は自分の穴だらけの計画に
あれほど落ちこんでいたのに、今ではそれが嘘の様にどうすればいいか、
と考えることが楽しいと思えた。
勿論、立てた計画の通り事がうまく運ぶなんてことは
そうそう無いのだとしても、自分に必要なこと、するべき事が何なのかと
知ることが出来るのは非常に有り難い。
そしてここへ来たばかりの自分の様に
その場の思いつきで安易にあれこれ挑戦してしまうリスクを
回避できることは大きな利点なのではないだろうか。
承知しました、とにこやかな笑みを浮かべる海苔巻さんを見ながら
私は『計画を立てる』ということの重要性を改めて再認識したのだった。
第55話へつづく。



