けいえい知っ得のブログ記事
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第十三話~
「えっと、頭を整理しながらじゃないと説明が抜けそうなので・・。
紙に書きながら説明しますね。」
海苔巻さんに借りたレポート用紙に、手荷物をあさったら出てきたボールペンで
簡単に書き付けながら説明を行うことにしたのだった。
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【ランチ】
・@550円/食
・一日に4人/件→20件くらい見込みあり?(オフィス街など)
・バイト(配達要員)4人
・バイト代→@900円(1日2時間くらい)→1人あたり1,800円/日
・キャノピー(配達車両)×2台 *中古車で一台20万くらい
・自転車(配達用)×2台 *中古車なら1台1万以内
・ガソリン代などの雑費 3,000円くらい?
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とりあえず考えていたランチの価格と
一日あたりの注文件数(見込み)を書き出す。
そして次に配達に回ってもらう人。これはバイトを雇うつもりでいたので
その雇い入れの人数と時給単価を。
そこで問題になるのが、その人達の足となる乗り物・・・。
ちょっと痛い出費だけれど、先行投資として割り切ることにした。
・・・将来元がとれるように頑張ればいいのだし。
それに中古なら1台の値段で2台買うことができる。
ただ、全員分は無理なので近場には自転車で回ってもらうことにした。
中古なら1万を切る商品は多いからバイクよりは遥かに安上がりだ。
近場だけで注文が沢山取れるのならバイクはいらないのだが・・。
まぁ・・そこまで甘くないだろうと思う。
「とりあえず、こんな感じで・・・漠然とですけど考えていて・・・」
海苔巻さんに書いたものをボールペンで指しながら、
自分の考えを述べていく。時折、窺うように表情を見るが・・・。
(・・・ど、どんどん難しい顔に・・・・)
とはいえ、まだ説明は終わっていないので・・終わった後にどんなダメ出しが・・
っとドキドキしながら説明を続けるのであった。
第14話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第十二話~
はりきってよろしくお願いしますっ!と頭を下げたものの・・。
いざ説明となるとしどろもどろになるもので・・・。
「えっとですね・・。まず必要だと思ったのが人手、
それから配達用の足で・・。それから・・ええと・・・。」
(他になんだったっけ?)
相手に分かりやすい様にうまく話そうとすればするほど、
頭が真っ白になって後が続かない。そういえば大学時代、
ゼミでの個人発表も苦手だったなぁなんて思い出してしまった。
『小町さん、まぁ・・落ち着いてください。・・・・・そんなに固くならなくても。
私は小町さんのご近所のわんちゃんほど怖くないと思いますけどねぇ。』
私の様子に苦笑して海苔巻さんが茶化すように言った。
以前、電話で近所にやたらと吠える犬が居て
しかも自分は犬が苦手なので前を通る時はいつも緊張する、
と話したことがあったのだが・・・。
あんな世間話を覚えているなんて、という驚きと・・。
緊張をほぐそうとしてくれた心遣いが分かって・・
過度に入りすぎていた力がふっと抜けた気がした。
「・・・・ぷ・・。たしかに・・そうですね。」
私が笑みを見せたことで、海苔巻さんも安心したらしい。
その表情は続きをどうぞ、と促していたが・・このまま話しても
結局はどこまで話したのだとか分からなくなりそうだから、と。
私は・・・書く物を要求したのだった。
(・・・・ノート、持って来ようと思っていたのに・・・)
今思っても後の祭りであった。
第13話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第十一話~
『・・ふむ、そうですねぇ・・。状況を聞いた限りでは確かに商売として
上手く行きそうな雰囲気ではあるんですが・・・。』
言いかけて、ふと私の顔をみた海苔巻さんが苦笑をする。
・・・・どうやら少し・・いやかなり不満そうな顔をしていたようだ。
『ええと、そうですね・・。
私の意見を言う前に先にもう一つお伺いしたいことが
あるんですが・・良いでしょうか?』
「・・もう一つ、ですか??」
なんだろうかと首を傾げる。
『配達というサービスを新たな商売に、と思いつかれたということは・・。
少なからず「こうしよう」という計画を
立てられたのではないかなと思いまして・・。
もし、小町さんが今の時点で考えている構想や展望
などがあるようでしたら、お聞かせ願えないかなと。』
どうですか?と、今度は逆に海苔巻さんに問われて・・・躊躇する。
相手はプロだ。
きっと、今までにもっと大きな会社さんの社長さんとかの
計画を聞いたりしているに違いない。
そんな人に、自分のおそらくかなり拙いであろう計画を話すのが
急に恥ずかしくなったのだ。
「・・・・確かに・・・色々、考えました。
配達というからには・・その足も必要ですし・・。」
色々、思いつく限りで考えてはみた。
けれど・・。
『はい、そうですね。それも必要ですね。』
うんうん、と海苔巻さんが頷いて聞いてくれる。
「・・・あの・・・本当に凄く、
多分海苔巻さんが笑ってしまうような計画ですよ・・?」
というか、計画と言ってしまってさしつかえないのだろうか・・・。
ここへ来る前の・・昨日海苔巻さんと話をする前の
変な盛り上がりはなりを潜めてしまっている。
少し、頭が冷えてきたというか・・・。
『いえいえ、笑ったりはしませんよ。
小町さんがあれこれ考えて作られた計画でしょう?』
「・・・ええ・・まぁ・・。それはそうなんですが・・。」
それでも渋っていると・・・。
『私もプロですから、小町さんの計画が無謀だったりすれば
勿論はっきり意見を述べさせて頂きます。
ですが、それはその計画をより良いものにする為であって、
計画自体を潰したり、けなしたりする為ではありませんよ。』
先生が子供を諭すようにやんわりと告げられた言葉に、
下に落ちていた視線をあげる。
けなしたり、潰したりする為に聞かせて欲しい訳ではないと言われて、
恥をかくのも嫌だが、自分はそれも怖かったのかもしれないと苦笑する。
そしてここへはそもそもその件について相談しにきたんだった、
と当初の目的を思い出し・・・。
「・・・はい、そうでした。
では、かなり修正が必要だろうとは思いますが・・。
考えていたことをお話しますね。」
今度は、きちんと海苔巻さんを見てそう告げる。
『はい、お願いします。小町さんのせっかくのチャンスです。
より良いものに出来るように精一杯お手伝いさせて頂きますよ。』
にっこりと笑う海苔巻さんに、私もつられて笑みを浮かべて
「はい!宜しくお願いしますっ」
勢いよく頭を下げたのだった。
第12話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第十話~
海苔巻さんがにこやかに入室すると、私も立ち上がり挨拶を返した。
「はい、お久しぶりですね。海苔巻さんもお変わりないようで。」
軽く談笑をした後、椅子を勧められたので改めて腰を下ろす。
向かいに同じように腰をかけた海苔巻さんはいつかのように
ガラス板の乗った立派なテーブルの上にレポート用紙を開けると
早速、本題を切り出した。
『では、昨日お伺いした件ですが・・・。もう一度お伺いしても?』
昨日は電話口だから、とかなりはしょって状況を説明したので
それをイチから詳しく、ということのようだ。
「あ、はい。えっとですね。そもそものきっかけは・・・」
この数週間の間の出来事を順を追って思い出し、
なるべく分かりやすい説明を心がけて話をしていく。
そこにはうまく伝えられず、その為に反対されてしまわないように、
という思いもあったのかもしれない。
近所のご贔屓さんの話から始まって、
つい最近の配達サービスへの問い合わせまで。
出来るだけ詳しく説明をした。
海苔巻さんはその説明にじっと耳を傾けて、
時折なるほど、と言った風に頷いたり少し難しい顔をしたりと
様々な表情を浮かべていて。
「・・・と、いうことでして・・。
それ以後、あまり馴染みの無かった人からも
問い合わせがきたりしたんですよ。」
だから、このサービスが商売として
成り立つのではないかと思ったのだ、と。
私はその反応に一喜一憂しつつも、
なんとか話終えることが出来てほっと身体の力を抜いた。
・・・・気づかない内に変な力が入っていたらしい。
「・・・・・どうですか?海苔巻さん的には・・昨日と同じで
あんまり気乗りしない感じですか??」
話終えた後も考える様子を見せる相手を窺がうように見る。
昨日はたいした説明をしてなかったから
あんな返事が返ってきたんだと思いたかった私は。
再びどきどきと緊張しながら返事を待ったのだった。
第11話へつづく。
おにぎり屋たんと【事業拡大編】~第九話~
翌日。
私は数ヶ月ぶりに『久保田会計事務所』との
看板が掲げられた建物の前へとやってきた。
よくよく見ればその下には別に設けられたプレートがあり、
そこには他にもいくつかの会社名が入っている。
(・・・・相続手続支援センター京都・・・?)
ビルは大きいから私が以前通された2階より上に入っているのかもしれない。
それともこういう仕事も兼ねているのだろうか・・。
以前来た時には緊張のあまり気づかなかったのだろうなと思い苦笑する。
「・・・・さて、そろそろ約束の時間だし・・。」
行きますか!
と、気合いを入れてガラスの扉を開けて階段を上がって行った。
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『いらっしゃいませ。』
と言わんばかりにガラスの扉の向こうで
女性が出迎えに出てくれていた。
階段を登りきるまでそう時間はかかっていないのだが、
なんとなく待たせてしまった様な気がして。
慌てて扉を開けようとやや勢いよく押して・・・
-ごわんっ-
という鈍い音がした。
・・・どうやら手前に引くべき扉を押してしまったらしい・・。
接客に出てくれていた女性が少し笑いながら扉を開けてくれた。
・・・誰もが一度はすることだと思いたい・・・。
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『すぐに担当者が参りますので、こちらでお待ちください。』
少々恥ずかしい思いをした後、通された部屋は前回とは違う部屋で。
以前に比べるとなんていうか・・・落ち着く広さと言えた。
「・・・私これくらいの広さでええわ・・・。」
一人になってからぼそりと呟く。
初めて通された時の部屋は広くて立派で・・・・
そもそも、こういうオフィス的な場所に慣れていない私は
話し合いが始まるまでそわそわしてしまったのだ。
広い部屋の真ん中よりも端っこで落ち着いてしまうような心理
と言えばわかりやすいだろうか・・・。
などとよく分からないことを考えていると、ノックの音が。
次いで扉が開く音がして。
『失礼します。どうも、直接お会いするのはお久しぶりですね。』
以前と変わらぬ笑顔で海苔巻さんが部屋に入ってきたのだった。
第10話へつづく。



