労務事業部: 2009年10月アーカイブ

改正労働基準法Ⅲ

労務事業部です。

 

今回は、前々回に改正内容の③としてあげていた

「年次有給休暇の時間単位取得」について

お話させて頂きます。

改正内容を順番にお話させていただいてきましたが、最終項目となります。

 

現行では、年次有給休暇は『1日単位』で取得すること

とされていますが、事業場で労使協定を締結すれば、

1年に5日分を限度として『時間単位』で取得できるようになります。

 

これは正社員だけでなく、

所定労働日数が少ないパートタイム労働者の方なども、

労使協定を締結すれば、『時間単位』で取得できるようになります。

 

1日分の年次有給休暇が何時間分の年次有給休暇に当たるかは、

労働者の所定労働時間をもとに決めることになりますが、

詳細は法改正の施行までに厚生労働省令で定められることとなっています。

 

今回の改正では、15分や30分といった

1時間に満たない単位での取得は認められていません。

所定労働時間が、7時間や8時間の会社なら問題はないとしても、

すべての会社がキリのよい時間とは限りません。

 

例えば、7時間30分の所定労働時間ではどうなるのでしょうか?

分単位での取得が認められないとなると、

時間単位取得をする場合、30分残ってしまいます。

この30分を切り捨ててしまうと、労働者不利益となってしまうので、

切り上げなければなりません。

(労働基準法施行規則24条の4第1号)

 

これをふまえて考えると、

7時間30分を切り上げて8時間

その5日分ということで、8時間×5日=40時間の時間単位年休が

取得できることとなります。

 

取得単位は、「時間」を単位とするものであれば、

必ずしも1時間単位でなくても差し支えはありません。

『2時間』、『3時間』のように1時間よりも大きなかたまりの単位で

取得することも可能ですが、

その場合は1日の所定労働時間を上回ることはできません。

 

例えば、1日3時間勤務のパートタイム労働者を雇用している会社では、

原則4時間単位の取得を定めてはいけないということになります。

 

この年次有給休暇を日単位で取得するか、時間単位で取得するかは、

労働者が自由に選択することができます。

(ただし、労働者が1日単位で取得することを希望した場合に、

使用者が時間単位に変更することはできません)

 

「年次有給休暇の時間単位取得」は、通院やその他の用事などで、

数時間の年次有給休暇の取得を求めていた労働者にとっては、

プラスになる改正内容だと思います。

 

仕事と生活の調和を図るという観点からも、

実施にむけて検討されてはいかがでしょうか。

 

【労使協定の例】

(対象者)

第1条  すべての労働者を対象とする。

(日数の上限)

第2条  年次有給休暇を時間単位で取得することができる日数は5日以内とする。

(1日分の年次有給休暇に相当する時間単位年休)

第3条  年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、

1日分の年次有給休暇に相当する時間数を8時間とする。

(取得単位)

第4条  年次有給休暇を時間単位で取得する場合は、

1時間単位で取得するものとする。

 

税理士法人 久保田会計事務所

| | コメント(0) | トラックバック(0)

改正労働基準法Ⅱ

労務事業部です。

今回は、前回改正内容の②としてあげていた

「割増賃金引き上げなどの努力義務」

についてお話させて頂きます。

 

今回の改正により、企業規模にかかわらず、

「割増賃金引き上げなどの努力義務」が

労使に課されることになります。

 

具体的には、

「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示

第154号:限度基準告示)により、

例えば、1ヶ月に45時間を超えて時間外労働を行う場合、

あらかじめ労使で特別条項付きの時間外労働協定(通称「36協定」)

を締結する必要がありました。

 

改正労働基準法では、新たに、

(1)特別条項付きの時間外労働協定を締結する場合は、

   月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること

(2)上記(1)の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること

(3)月45時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること

    (※今後、法改正の施行までに、限度基準告示が改正される予定です。)

 

という3点が必要となります。

 

時間外労働の限度基準において定める『限度時間』、

『特別条項付きの時間外労働協定』。

普段あまり耳にしない言葉なので、

なんのことだろうと思われる方もいらっしゃると思いますので、

簡単にご説明させて頂きます。

 

『限度時間』→ 労使協定を結べば、1ヶ月45時間、

年間360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は1ヶ月42時間、

年間320時間)を上限として働かせることができる。

 

『特別条項付きの時間外労働協定』→ 臨時的に特別な事情がある場合

に限り、この協定を結ぶことで、限度時間を超えて働かせることができる。

 

この改正により、率を引き上げる場合は、

就業規則などの変更が必要になってくるなど、

今まで以上の細かな労務管理が求められるようになります。

 

現段階では、この論点については努力義務のため、

多くの会社は現行通りの率に据え置くと考えられますが、

いつ義務化されるかわかりません。

 

今すぐとはいかないまでも、対応できる環境作りを

目指してみてはいかがでしょうか?

 

税理士法人 久保田会計事務所

| | コメント(0) | トラックバック(0)

改正労働基準法

労務事業部です。

 

今回は平成22年4月1日から施行される改正労働基準法について

お話させて頂きます。

 

改正内容としては、

①時間外労働の割増賃金率の引き上げ

②割増賃金引き上げなどの努力義務

③年次有給休暇の時間単位取得

 

の3つがあげられます。

 

すでにご存じの方も多いとは思いますが、

どんなことが改正になるのか、

1つずつご紹介したいと思います。

 

①の改正ポイントとしては下記の項目があげられます。

・1ヶ月に60時間を超える時間外労働については、

 法定割増賃金率が、現行の25%以上から50%以上

 に引き上げられます。

 (休日労働、深夜労働の割増賃金率の変更はありません)

・事業場で労使協定を締結すれば、

 1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者に対して

 改正による引き上げ分(25%以上から50%以上に引き上げた

 差の25%以上分)の割増賃金の支払いに代えて

 有給休暇を付与することができます。

 ただし、労働者がこの有給休暇を取得した場合でも、

 今まで通りの25%以上の割増賃金の支払は必要になります。

 

2つ目のポイントを具体的に見てみると

時間外労働を76時間行った場合は、

月60時間を超える16時間分の割増賃金引き上げ分を

25%と考えると、16時間×0.25=4時間分の

有給休暇の付与に代えることができます。

(ただし、今まで通りの76時間×1.25以上の

賃金の支払いは必要となります)

 

この有給休暇の付与に関しては、③の論点につながりますので、

後日改めてお話させて頂きます。

 

①の改正内容は中小企業については、

当分の間、適用が猶予されます。

(法の施行から3年経過後に改めて検討することとされています)

「じゃあうちには関係ない」という事業主様もいらっしゃると思います。

 

しかし、近いうちに企業規模にかかわらず、

適用される可能性は大いにあります。

今はまだ大丈夫でも、適用されることが決まった時に慌てない為にも、

この機会に対策を立てられてはいかがでしょうか?

 

次回は②の改正ポイントについてお話させて頂きます。

 

【参考】

※猶予される中小企業の範囲

資本金等の額または出資の総額が

・小売業 :資本金等5,000万円以下又は常用労働者数50人以下

・サービス業:資本金等5,000万円以下又は常用労働者数100人以下

・卸売業 :資本金等1億円以下又は常用労働者数100人以下

・上記以外:資本金等3億円以下又は常用労働者数300人以下

※上記要件は、事業場単位ではなく、

   企業(法人または個人事業主)単位で判断されます。

 

税理士法人 久保田会計事務所

| | コメント(0) | トラックバック(0)

新型インフルエンザと給与Part2

労務事業部です。

 

新型インフルエンザが流行期に入って参りました。

 

以前は、従業員様ご自身が

新型インフルエンザ感染の可能性がある場合の

給与の考え方についてお話しをさせていただきました。

今回は、従業員様の家族がインフルエンザに感染したときに、

その従業員を休ませる場合の

給与の考え方についてお話したいと思います。

 

家族に感染者が出た場合、

その従業員は、濃厚接触者として感染の可能性が高いと言えます。

よって、そのまま出勤されると職場に感染を広げるおそれもあります。

会社としては、自宅待機させたいところではあります。

 

しかし、その様な場合の給与の考え方については、

会社が独自の判断で休ませる場合と

行政の要請が出てから休ませる場合とでは取扱が違ってきます。

 

感染症予防法44条の3では、

家族が新型インフルエンザにかかっている者などについて

保健所等で調査を行い当該感染症にかかっていると

疑うに足りる正当な理由のある者と判断された場合については、

都道府県知事が外出自粛の要請を行うこととしています。

 

但し、現時点では同法に基づく上記の要請は出ていません。

 

この感染症予防法に基づく保健所等行政の要請による休業の場合は、

『使用者の責に帰すべき事由ではない』ため、

『賃金』『休業手当』とも支払う必要はないことになります。

 

但し、先にも述べましたように、

現時点では同法に基づく要請は出されていないので、

会社が独自の判断で念のため休業をさせるような場合は、

最低でも休業手当の支払は必要となります。

 

※(休業手当とは)

労働基準法第26条

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、

使用者は、休業期間中当該労働者に、

その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

会社としましては、

基本的なことですが手洗い、うがいなど

感染予防策の周知徹底を図っていただきたいと思います。

 

(厚生労働省「新型インフルエンザ対策パンフレットなど」)

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/inful_pamphlet.html

 

税理士法人 久保田会計事務所

| | コメント(0) | トラックバック(0)