労務事業部のブログ記事
雇用促進税制のポイントPart2
こんにちは、労務事業部です。
今回は、以前掲載した『雇用促進税制』の適用要件の中で、
特に注意が必要な要件を少し掘り下げて見ていきたいと思います。
この制度は、単純に1人でも雇用者が増えれば
適用されるというものではありません。
(適用要件1)
適用事業年度とその前事業年度に、
事業主都合による離職者がいないこと。
→これは、文字通り、適用したい年度及び前年度において、
『事業主都合』による離職者がいないことです。
つまり、自己都合退職であれば問題ないということになりますが、
1人でも『事業主都合』による離職者がいる場合は、
その他の要件が全てクリアしていても適用されませんので注意が必要です。
(適用要件2)
適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を
5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ、
10%以上増加させること。
→これは、雇用保険に加入している従業員の数が、
前年度から適用したい年度において
5人以上(中小企業の場合は2人以上)増えていることが必要で、
さらに、割合でみても10%以上増加していることが必要ということです。
中小企業で考えると、最低でも人数基準で2人以上の増加が必要であり、
割合基準でも10%以上増加していることが必要であるということです。
例えば、従業員10人の中小企業が10%以上ということなので、
1人(10人×10%)増加させたとしても、
もう一つの要件、2人以上を満たしていないため、
適用が受けられないことになります。
また、従業員50人の中小企業が2人以上の要件を意識して
4人増加させたとしても、
もう一つの要件、10%以上=5人(50人×10%)以上の
要件を満たさないので、
適用が受けられないということになります。
(適用要件3)
適用年度における給与等の支給額が、
比較給与等支給額以上であること。
→意外と注意しなければいけない要件かもしれません。
給与等には、『賞与』が含まれます。
例えば、新人は増やさなければならないが、
全員の賞与の支給率を下げなければならない場合は、
適用を受けられない可能性が出てきます。
以上、特に注意が必要な要件を少し詳しく見てみました。
この制度の適用を狙って従業員を増やしたものの、
蓋を開ければ適用が受けられないということがあってはいけません。
特に(適用要件3)は、見落としがちになると思いますので、
ご注意下さい。
雇用促進税制のポイント
平成23年度税制改正にて、雇用促進税制が創設されました。
その名の通り、雇用を促す制度であり、雇用促進に努めている法人には、
税金を優遇しようという制度になります。
具体的にどういう制度か見ていきたいと思います。
(概要)
青色申告法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日
までの間に開始する各事業年度において、
当期末の雇用者(*1)の数が前期末の雇用者の数に比して
5人以上(中小企業者等については2人以上)及び
10%以上増加していることにつき証明がされるなど
一定の場合に該当するときは、20万円に基準雇用者数を乗じて
計算した金額の特別税額控除ができることとされました。
ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)
相当額が限度とされています(措法42の12)。
(*1) この制度における雇用者とは、
法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、
使用人から役員の特殊関係者及び使用人兼務役員は
除かれます(措法42の12②二、措令27の12⑤)。
(適用要件)
この制度の適用を受けるためには、次の①から⑤までの要件を
全て満たしていることが必要です(措法42の12①②、措令27の12③、措規20の7②)。
① 前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと。
② 基準雇用者数 ≧ 5人(中小企業者等については2人)
基準雇用者数とは、次の算式により計算した数をいいます。
基準雇用者数 = 当期末の雇用者の数 - 前期末の雇用者の数
③ 基準雇用者割合 ≧ 10%
基準雇用者割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。
基準雇用者割合 =基準雇用者数/前期末の雇用者の数
④ 給与等支給額 ≧ 比較給与等支給額
イ 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される
給与等(雇用者に対して支給するものに限られます。)の支給額をいいます。
ロ 比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。
比較給与等支給額=
前期の給与等の支給額 +(前期の給与等の支給額 × 基準雇用者割合 × 30%)
⑤ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業
(一定の事業を除きます。)を行っていること。
(手続要件)
①企業は、事業年度開始後2月以内に目標の雇用増加数等を記載した
雇用促進計画を作成し、ハローワークに届出します。
②事業年度終了後2月以内にハローワークより
雇用促進計画について確認を受けます。
③ハローワークによって確認を受け、交付される雇用促進計画等の
書類を確定申告書に添付することにより適用可能となります。
(税額控除限度額の計算)
この制度による税額控除限度額は、次の算式により計算します。
税額控除限度額=基準雇用者数×20万円
(当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額を限度)
(まとめ)
上記の要件をすべて満たして初めて
この制度の適用を受けることが出来ます。
控除限度額はありますが、増加した雇用保険一般被保険者の数×20万円
が税額控除額となりますので、減税効果は大きいと思います。
新たな雇用を考えておられる法人様につきましては、
この制度の適用も視野に入れた雇用計画を
練られてみてはいかがでしょうか。
平成23年度算定基礎届変更点
労務事業部です。
今年も算定基礎届の提出時期が近づいてきました。
算定基礎届は、1年に一度従業員の標準報酬月額を
実際の給与と見合ったものにするために、
4月、5月、6月の給与をベースにして標準報酬月額を算出し、作成します。
また、①給与の遅配②休職③ストライキなど、
上記の方法で算定が困難又は著しく不当な場合は、
保険者算定が認められてきました。
今年はこの保険者算定の基準が追加になります。
具体的には、
「当年の4、5、6月の3ヶ月間に受けた
報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」と
「前年の7月から当年の6月までの間に受けた
報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」との間に
2等級以上の差を生じた場合であって、この差が業務の性質上
例年発生することが見込まれる場合
(いずれも支払基礎日数が17日未満の月を除く)について、
保険者算定の対象とすることになりました。
例えば、4~6月が繁忙期になる農産物加工や不動産等の業種や、
総務、会計の部署等が該当すると考えられています。
また、この内容は「個人単位」で適用可能となるので、
同じ会社であっても該当する部署もあれば、
該当しない部署もでてくると思います。
あくまで、「例年発生することが見込まれる場合」ですので、
たまたまこの年だけ忙しくて残業代が増えても
保険者算定には該当せず、例年通りの算定方法になります。
届出方法は、算定基礎届の備考欄に『年間平均』と記入し、
①業務の性質上例年見込まれるものである理由を記載した申立書
②被保険者の同意書
③当年4、5、6月の報酬額等と前年7月から
当年6月の報酬月額等を比較した書類
を添付して提出することになっています。
該当する会社は、事務作業が繁雑になりますので、ご注意下さい。
1年間に4回以上の賞与がある場合の社会保険料について
こんにちは労務事業部です。
今回は、1年間に4回以上の賞与がある場合の社会保険料について、
お話ししたいと思います。
『7月1日前の1年間で、
年に4回以上支給される賞与は、
算定基礎届を作成する時に考慮しなくてはならない。』
というようなことは、皆さん何となくご存知かもしれません?
この制度は、色々調べてみて文章だけみていると
何となく分かった気になりますが、
具体的に考えると疑問点がいっぱい出てきます。
まず、基本的な話しをさせていただきますと、
社会保険料を算定するため、
毎年、6月分のお給料計算が終わったら算定基礎届を作成しますよね。
算定基礎届を作成する時には、
たとえ4月、5月、6月に賞与の支払いがあったとしても、
原則、算定基礎届けには記載しません。
つまり、賞与は報酬額には含めず除外します。
ちなみに賞与の支払時には、『賞与支払届』を作成し、提出しますよね。
では、7月1日時点に立って、
過去の1年間をふり返り、
結果として、賞与の支払い実績が4回以上あった場合はどうしますか?
その1年間に支払われた賞与の合計額を12ヶ月で除して、
1ヶ月分を算定し4月分、5月分、6月分の各月の賃金額に加算して
算定基礎届を作成するのでしょうか?
結構悩みますよね!
就業規則等により、
1年間で4回以上の賞与を支給する旨が明確にされている場合は、
上記のような方法となり、
算定基礎届作成時に考慮します。
(この場合は、就業規則等で明確にされているので、
賞与の支払時では『賞与支払届』は作成・提出しないことになります。)
これに対し、就業規則等では年2回の賞与支給であるが、
結果として、年4回以上の賞与となってしまった場合は、
通常の賞与として取り扱われますので、
4回目の賞与であっても『賞与支払届』を提出することになり、
算定基礎届作成時には考慮しません。
ポイントは、就業規則等で年4回以上の賞与と
明確になっているかどうかです。
意外とこのポイントを押さえておられない方がいらっしゃるのでご注意下さい。
標準報酬月額には、最高等級が存在しますので、
給料の高い従業員・役員限定の話しになってしまいますが、
賃金制度に年4回以上の賞与を組み入れることにより
社会保険料の節減が可能となる会社様もあるかもしれません。
一度、ご検討下さい。
管理監督者への割増賃金は一切不要?
管理職には割増賃金の支払いは一切不要と認識されていませんか?
実は、違うんです。
ポイントは大きく2つあります。
①貴社の管理職が労働基準法上の管理監督者に該当するか否か
②深夜労働に対する割増賃金は必要
①貴社の管理職が労働基準法上の管理監督者に該当するか否か
貴社における管理職が必ずしも労働基準法上の管理監督者に
該当するとは限りません。
ここで重要になってくるのが、管理監督者の判断基準です。
・経営方針の決定に参画しているか
・労務管理上の指揮権限を有しているか
・出退勤について自由裁量を有する地位にあるか否か
・賞与、役付手当等において職務の重要性に見合う待遇がなされているか
などが判断基準となります。
上記の判断基準に合致しない場合、管理職であっても
労働基準法上の管理監督者に該当しないことになるため、
一般従業員と同様に割増賃金の支払いが必要になります。
②深夜労働に対する割増賃金は必要
たしかに「管理監督者」に法定労働時間を超えて、
あるいは法定休日に労働させても、時間外労働や
休日労働に対する割増賃金の支払いは不要です。(労働基準法41条2号)
しかし、深夜労働に対する割増賃金の支払いについては
免除されていません。
したがって、「管理監督者」に該当する場合でも深夜労働、
つまり午後10時から翌朝午前5時までの時間帯に労働させる場合は、
深夜労働の割増賃金を支払う必要があります。
今後問題が発生しないためにも、
現状について一度確認してみてはいかがでしょうか。



