2011年7月アーカイブ

平成23年度税制改正にて、雇用促進税制が創設されました。

その名の通り、雇用を促す制度であり、雇用促進に努めている法人には、

税金を優遇しようという制度になります。

具体的にどういう制度か見ていきたいと思います。

 

(概要)

青色申告法人が、平成23年4月1日から平成26年3月31日

までの間に開始する各事業年度において、

当期末の雇用者(*1)の数が前期末の雇用者の数に比して

5人以上(中小企業者等については2人以上)及び

10%以上増加していることにつき証明がされるなど

一定の場合に該当するときは、20万円に基準雇用者数を乗じて

計算した金額の特別税額控除ができることとされました。

ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)

相当額が限度とされています(措法42の12)。

(*1) この制度における雇用者とは、

法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、

使用人から役員の特殊関係者及び使用人兼務役員は

除かれます(措法42の12②二、措令27の12⑤)。

 

(適用要件)

この制度の適用を受けるためには、次の①から⑤までの要件を

全て満たしていることが必要です(措法42の12①②、措令27の12③、措規20の7②)。

① 前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと。

② 基準雇用者数 ≧ 5人(中小企業者等については2人)

基準雇用者数とは、次の算式により計算した数をいいます。

基準雇用者数 = 当期末の雇用者の数 - 前期末の雇用者の数

③ 基準雇用者割合 ≧ 10%

基準雇用者割合とは、次の算式により計算した割合をいいます。

基準雇用者割合 =基準雇用者数/前期末の雇用者の数

④ 給与等支給額 ≧ 比較給与等支給額

イ 給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される

給与等(雇用者に対して支給するものに限られます。)の支給額をいいます。

ロ 比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいいます。

比較給与等支給額=

前期の給与等の支給額 +(前期の給与等の支給額 × 基準雇用者割合 × 30%)

⑤ 雇用保険法第5条第1項に規定する適用事業

(一定の事業を除きます。)を行っていること。

 

(手続要件)

①企業は、事業年度開始後2月以内に目標の雇用増加数等を記載した

雇用促進計画を作成し、ハローワークに届出します。

②事業年度終了後2月以内にハローワークより

雇用促進計画について確認を受けます。

③ハローワークによって確認を受け、交付される雇用促進計画等の

書類を確定申告書に添付することにより適用可能となります。

 

(税額控除限度額の計算)

この制度による税額控除限度額は、次の算式により計算します。

税額控除限度額=基準雇用者数×20万円

(当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額を限度)

 

(まとめ)

上記の要件をすべて満たして初めて

この制度の適用を受けることが出来ます。

控除限度額はありますが、増加した雇用保険一般被保険者の数×20万円

が税額控除額となりますので、減税効果は大きいと思います。

新たな雇用を考えておられる法人様につきましては、

この制度の適用も視野に入れた雇用計画を

練られてみてはいかがでしょうか。

 

税理士法人 久保田会計事務所

こんにちは財務事業部です。

報道では目立たないが、実務上非常に大きな影響がある

「消費税仕入税額控除の95%ルールの撤廃」について

お話していきたいと思います。

 

消費税は、事業者が国に納付する場合に、

顧客から預かった消費税(仮受消費税)から、

その事業者が負担している消費税(仮払消費税)を控除して計算をします。

これを「仕入税額控除」といいます。

 

現在のルールでは、この仕入税額控除を計算するとき、

課税売上割合(受取利息や土地の譲渡などの非課税の売上と

課税売上を合算した金額のうち、課税売上が占める割合)が

95%以上であれば、全額控除ができます。これを95%ルールと呼んでいます。

 

不動産業や医療法人などの特定の業種を除くと、

多くの企業がこの95%ルールにより、仮払消費税の全額を控除しています。

 

今回の改正で、平成24年4月1日以降開始する課税期間から、

その課税期間の課税売上が5億円を超える事業者は

95%ルールが使えなくなります。

 

95%ルールが使えなくなるとどうなるかというと、仮払消費税の金額に

課税売上割合を乗じて控除できる金額を計算する(一括比例配分方式)か、

仮払消費税を、課税売上に対応するものと、

課税売上・非課税売上に共通して対応するもの、

非課税売上に対応するものに区分した上で、

共通の金額に課税売上割合を乗じた上で、

課税売上対応の金額と合算して控除する(個別対応方式)によることになります。

 

長々と書きましたが、

要するに、課税売上が5億円超になることが見込まれる場合には、

仮払消費税の区分をしなければ損をしてしまうことがあるということです。

 

会社の経理レベルもそれに対応できるようにしておかないといけないので、

今から準備しておくことが重要です。

我々も出来うる限りご協力させていただきます。

 

税理士法人 久保田会計事務所

長らく審議が棚上げとなっていた平成23年度税制改正法案ですが、

先月の6月22日に「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応し

て税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」という、

別途の新たな法律として国会で可決・成立しました。

 

資産課税関係で注目されていた相続税の基礎控除の引き下げや

税率構造の見直し、贈与税の税率構造の緩和や

相続時精算課税制度の対象拡大といった改正項目は、

他の法人税等の改正項目とともに見送られ、

「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための

所得税法等の一部を改正する法律案」と名称変更され

審議が継続される事になりました。

 

資産課税関係では、インパクトは弱いながらも、実務では以前から

お客様からのお問い合わせが非常に多かった住宅取得資金の贈与に

関する改正がありました。

 

父母や祖父母などから住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課

税措置)、住宅取得等資金の贈与の場合は、親が65才未満でも

相続時精算課税を選択できる特例(特定の贈与者から住宅取得等資金

の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例措置)の制度について、

その適用対象となる「住宅取得等資金の範囲」に土地を先行取得す

るための資金が追加されました。

 

改正前も家屋とともにその敷地のための土地等を取得した場合の

資金にも適用はありましたが、この場合の土地とは、例えば

1.土地の分譲業者から土地を取得し、その業者との間でその土

    地の上に家屋を新築する請負契約を締結した場合のその土地

2.家屋の新築請負契約の締結を条件とした売買契約により取得

    した土地

3.いわゆる建売住宅、分譲マンションの土地

 

等、家屋と同時に取得した場合に限定されていましたが、新たに、

住宅を新築するにあたり、その敷地のための土地を先行して取得

する場合の資金が追加されることになりました。

 

土地を購入して、建物は土地の購入業者とは別のハウスメーカーで

注文建築、資金の一部は両親から援助してもらった、とはよくある

話です。この様なケースの場合、改正前は援助資金を住宅の建築代

金に充てれば贈与税の非課税の特例が受けられ、土地の購入代金に

充てると特例が受けられませんでした。

 

今回の改正で住宅取得等資金の範囲に、土地の先行取得資金が追加

されたことでより利用しやすくはなりますが、非課税等の特例を適

用するためには、その他にもこまかな要件がございますので、ご不

明の点がございましたら、久保田会計事務所にお問い合わせいただ

ければと思います。

 

改正は、平成23年1月1日以後の贈与から適用されます。

税理士法人 久保田会計事務所

こんにちは経営支援事業部です。

 

今回は事業承継にかかる経営者の財産分配について

書いてみたいと思います。

 

財産分配を円滑にすすめるために大切なことは、

「経営」と「相続」という2つの視点から検討するということです。

 

「経営」の視点においては、後継者へ事業用財産を集中し、

従前通りの円滑な経営を継続出来るように配慮することが大切です。

一方、「相続」の視点では、後継者以外の相続人の相続権に配慮し、

適正なバランスで遺産分割を行うことが大切です。

 

しかしながら、現実的にはこれらのバランスがとれず、遺産分割が難航し

経営にも悪影響を与えてしまうといった事例が珍しくありません。

 

たとえば、経営者の主たる財産が自社株式と現預金、

相続人が長男(後継者)と嫁がれた長女といったようなケースを

想定してみてください。

経営の視点でいくと、自社株を後継者が相続し経営支配権を確保

したいところです。

ただ、財産バランスが自社株式9・現預金1といったような場合、

長女は10分の1の現預金を相続するだけで満足してくれるでしょうか、

また、10分の9ではありますが、現金化が困難な自社株式のみで長男は

満足するのでしょうか。

 

これは一例にすぎませんが、円滑な経営承継と円満な遺産分割を同時に

果たすことはなかなか容易なことではありません。

 

では、どのような方法があるのでしょうか?

 

上記の例についてですが、

財産バランスが株と現預金で9対1となる前の

株価が低い段階で株の価値を固定できていれば・・・

あるいは、経営支配権のある株式と無い株式に株の種類を

分けることができていれば・・・

もめないように先代が意思を残しておいてくれれば・・・

少しは円満な遺産分割を後押ししてくれたかもしれません。

 

このように「・・・であれば」といった方法が、民法や会社法などの

改正によってどんどん可能になってきています。

 

大切なことは、十分な時間をかけて財産分配の準備をすることです。

相続が発生してからの選択肢は限られます。

財産分配に少しでも不安をお持ちの経営者の方がいらっしゃれば、

いつでもお気軽にお声掛けいただければ幸いです。

 

ご相談お待ち申しあげております。

 

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