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子会社配当の非課税措置と子会社株式の譲渡を組み合わせた租税回避への対応

2020年12月30日

財務事業部

こんにちは、経営財務部です。

今回は子会社配当の非課税措置と子会社株式の譲渡を組み合わせた

租税回避(所謂ソフトバンクスキーム)への対応と実務的な処理についてご紹介致します。



【概要】

当該スキームは2020年の税制改正で対策が取られましたが、

改正前は当時の税法に則ったものであり適法でした。

概要は親会社が買収した海外子会社から通常ではあり得ないような高額な配当を受け取り、

海外子会社の留保していた利益を吸い上げます。

留保利益がなくなった海外子会社の株価は買収時の取得価額を大きく下回り、

そのタイミングで海外子会社の株式を売却します。

収支的には配当のプラスと株式売却のマイナスで相殺されそうですが、

海外子会社からの配当は配当額の95%について税務上はプラスと認識しないという規定があるため、

マイナスだけが残り節税となるというものでした。



【改正内容】

上記スキームへの対策として改正された内容ですが、

直接、間接に50%超の支配関係にある法人(特定関係子法人)から受ける配当等の額が、

特定関係子法人株式の帳簿価額の10%超の場合、

改正前は非課税とされていた金額が特定関係子法人株式の帳簿価額から減額されることとなりました。

ただし下記のいずれかに該当する配当については対象外とされています。

①子会社が内国法人で、設立日から支配関係発生日までの間、

90%以上の株式を内国法人や居住者に保有されている

②株式取得後に増加した利益剰余金が配当原資になっている

③支配関係成立時より10年経過後に配当を受取る

④事業年度中の配当額が2,000万円以下



【実務処理】

上記改正につきまして実務上の処理を検討してみます。

会計上は配当として受け取ることに変わりはありませんから、

現預金 / 受取配当金

という処理となります。

ですが税務上は帳簿価額を減額するとされているため、

現預金 / 関係会社株式

という処理が必要となり、会計上と税務上で認識の不一致が生じます。

この不一致は法人税の申告時に

受取配当金 / 関係会社株式

という調整がされ、実際に特定関係子会社株式が売却等されるまで留保されます。



次に実際に売却等された場合には

会計上はその時点で初めて株価の下落を認識するため、

売却損 / 関係会社株式

という処理となります。

ですが税務上は既にその配当による株価の下落を認識しているため、

売却時には処理は必要ありません。

そのため法人税の申告時に

関係会社株式 / 受取配当金

という調整がされ、会計上認識されていた売却損が税務上認識されなくなると共に、

配当受け取り時に留保されていた税務上の株価下落部分が償却されることになります。



この改正は中小企業ではあまり身近ではないものの、ソフトバンクグループが実行したスキームとして

気にかけられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊所では中小企業や個人事業主、ご相続といった身近な税務はもちろんですが、

通常あまり出会わないような税務についてもしっかりと検討しております。

判断に悩まれるような事例がございましたら、是非弊所までご相談下さい。



              
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