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倒産防止共済の税制改正について

2024年05月22日

経営財務部

こんにちは。税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
今回は倒産防止共済の税制改正についてお話しさせていただきます。

倒産防止共済とは『経営セーフティー共済』としても知られる制度であり、取引先事業者が
倒産した際に中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることから守るための共済制度となります。

具体的な制度内容としては、取引先が倒産し、売掛金債権等が回収困難になった際に、
掛金の最高10倍(上限8,000万円)までの借入れが無担保・無保証人で可能となります。

毎月の掛金金額は、5千円~20万円の範囲内で自由に選択が出来、掛金は掛金総額が
800万円になるまで積み立てる事が可能となります。

また毎月の掛金を損金扱いにする事が可能であり、決算時に大きく利益が出る見通しであれば、
掛金の最大金額、20万円の1年分である240万円を全額前払する事で全額を経費とし、
当期の利益を圧縮(節税)する事が出来ます。

ただし、経営セーフティー共済の掛金は、解約した際に課税対象となる解約手当金として
戻ってくるため、実質的には課税の繰延となります。

上述したとおり、経営セーフティー共済は一定の節税(課税の繰延)効果があります。

しかし今回の改正により、令和6年10月1日以後に経営セーフティー共済を解約した場合、
再度加入するとその解約日から同日以後2年を経過するまで、支出する掛金の経費計上(損金算入)が
出来なくなります。

改正に至った経緯としては、共済加入者の主な目的が税制上の優遇となっており
短期的な脱退や再加入は、倒産防止共済の本来の目的から離れたものとして問題視されました。

現行は、解約月の翌月に再加入し支払った掛金も全額損金処理が可能となりますので、同じ期中に
再加入し、掛金を支払う事で掛金の損金と課税対象となる解約手当金を相殺する事が出来ました。

改正後も解約月の翌月から再加入は可能となりますが、掛金は解約日から2年間は損金処理が
出来ないため、解約手当金全額が収益として課税の対象となります。

改正後の掛金の処理や損金算入できなかった掛金部分を将来受取る際の具体的な処理方法は
現時点では未定のため、今後の注目点となります。




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