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従業員に対する表彰金の所得区分について

2025年12月03日

経営財務部

こんにちは。
税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。

今回は、従業員に対する表彰金の所得区分に関する税務上の取扱いについて御案内いたします。

企業活動において、従業員の功績に対して表彰金を支給する事例は多々ありますが、
この金銭の税務上の所得区分は、その功労が「通常の職務の範囲内」であるか否かによって異なります。

所得税法上の正確な区分は、企業の源泉徴収義務に直結するだけでなく、給与課税となる場合は
年末調整による給与額の調整が必要な場合もあるため、慎重な判断が求められます。


【原則:給与所得としての取扱い】
会社が従業員に対して支払う金銭は、所得税法第28条第1項に基づき、原則として給与所得に区分され、
企業は源泉徴収を行う義務を負います。

特に、事務作業の合理化、製品の品質改善等、業務遂行上有益な考案等に対して従業員に支給する
表彰金については、その考案等が功労者の「通常の職務の範囲内」であると判断される場合、
給与所得として取り扱われます。

この取扱いは、特許等を受けるに至らない程度の考案に関するものですが、業務上の功績等についても
同様に適用されます。

具体的な適用例としては、新商品の販売等で業績を回復させた功労者が、商品の企画立案を通常の職務とする
商品開発部門の従業員である場合、当該表彰金は給与所得に区分されます。


【例外:一時所得または雑所得としての取扱い】
一方、従業員の考案や功績が「通常の職務の範囲外」のものに対して支給される表彰金については、
給与所得とは別の所得区分が適用され、企業による源泉徴収は不要となります。

(1) 一時所得
「通常の職務の範囲外」の功績に対する表彰金が一時に支払われる場合、それは一時所得に区分されます。

例えば、新商品の企画立案が通常の職務の範囲外である営業部門の従業員に対して、その企画の功績により
表彰金が一度限りで支給される場合、この表彰金は一時所得に該当します。

(2) 雑所得
「通常の職務の範囲外」の功績に対する表彰金であっても、その支給が売上等の実績に連動し、
「1万個売り上げるごとに支給する」といった形で複数回にわたり、継続的に行われる場合は、
雑所得に区分されます。


【永年勤続表彰に関する特例】
代表的な社内表彰制度である永年勤続表彰において支給される記念品や旅行券等については、
以下の要件を満たす場合に限り、非課税とすることが認められています。

・社会通念上相当な金額であること。
・勤続年数がおおむね10年以上の者を対象にしていること。
・同じ者を対象とした表彰が、おおむね5年以上の間隔をあけて行われること。


【まとめ】
従業員への表彰金を適切に処理するためには、その功労が職務の範囲内か、範囲外かを明確に識別し、
さらに一括支給か、継続支給かという支給形態を加味して、給与所得、一時所得、雑所得のいずれに
該当するかを判断する必要があります。

年末調整業務に影響する場合もありますので、今年の従業員への表彰について振り返ってみては
いかがでしょうか。





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