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令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要について

2025年12月10日

経営財務部

こんにちは。経営財務部です。
今回は、12月2日に国税庁サイトに掲載された「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」について
お話ししたいと思います。

実際の資料については、下記リンクをご参照下さい。

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/hojin_chosa/pdf/01.pdf


【導入】
この資料によると、法人税・消費税に関する追徴税額の総額は3,407億円に達し、
これは直近10年間で最高額となりました。

また、調査1件当たりの追徴税額は6,342千円と、直近10年で2番目の高水準になっています。
一方で、実地調査件数は約54,000件と令和6年度の約59,000件と比べて減少しています。

この数字は、国税庁の調査能力が年々向上していることを示唆していると考えられます。


【税務調査とは?】
税務調査とは、企業や個人が提出した申告内容が正しいかどうかを確認し、国の税収を
正しく確保することにあります。

この目的を効率的に達成するため、国税庁は調査の必要性に応じて、大きく2つのアプローチを
使い分けています。

それが「実地調査」と「簡易な接触」です。

実地調査とは、調査官が企業や個人の事務所などを直接訪問して帳簿などを確認する方法です。
税務調査と言えば、多くの方はこの方法を思い浮かべられるのではないでしょうか。

簡易な接触とは、書面紹介や電話連絡などによる自主的な修正の要請を促す方法です。

そして、実地調査における1件当たりの追徴税額は約634万円であるのに対し、
簡易な接触による1件当たりの追徴税額は約31万円と大きな差があります。

これは、国税庁が様々な方法を活用し、巨額の不正が見込まれる案件にリソースを集中投下する
「選択と集中」を徹底している傾向が見て取れます。


【昨今の税務調査の傾向】
この資料によると、国税庁は

「AIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、
申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に
判断しています。
調査官の知見にAIの分析結果を組み合わせることにより、効率的で精度の高い調査を実施しています。」

としています。

つまり、AIの高度なデータ分析力と、経験豊富な調査官の洞察力が組み合わさることで、
調査の効率と精度が飛躍的に向上しているということです。

これまでの税務調査は、各々の調査官の経験と勘を頼りに不審な点を探していましたが、
今やAIがその初期段階を担っているのです。

これにより、調査官はより複雑で巧妙な手口の解明に集中できるようになりました。

また、国税庁は、重点課題として特に厳正な調査を実施している項目として下記3点を挙げています。

①消費税還付申告法人~消費税制度を悪用した不正還付申告~
②海外取引法人等~海外取引や各国の税制の違いを利用した租税回避等~
③無申告法人~申告義務を果たさず、税負担を意図的に回避~

これらは、取引が複雑なケースが多かったり、そもそも情報が上がってこないケースが多いため、
人力で不正を把握することが難しい項目でした。

ただ、上記のようにAIの活用が広がってきており、大量の情報を分析できるようになったことから、
重点課題としているのです。


【まとめ】
この記事では、税務調査の基本から最新の動向までを解説してきました。
最後に、重要なポイントを3つにまとめます。

• 税務調査は「実地調査」と「簡易な接触」に大別され、効率的に行われていること。
• AIの活用により、調査はますます高度化・専門化していること。
• 消費税還付や海外取引など、特定の分野への監視が強化されていること。

税務調査の最新動向を理解することは、これからビジネスに携わる上で、避けては通れない必須の知識です。

テクノロジーの進化やグローバル化は、ビジネスに多くの機会をもたらす一方で、税務の世界にも
大きな変化を与えています。


【最後に】
税務調査の方法は、どんどん効率化していますし、追徴税額も過去最高レベルであるとなると、
「我が社(私)も多額の追徴をされるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、きちんと適切な税務申告と納税をしていれば何も不安になる必要はありません。

上記のように税務調査の効率化が図られるということは、裏を返せば「適正な税務申告と納税をしていれば
調査対象から外れる可能性が高い」ということになります。

また、仮に税務調査が実施されたとしても、堂々と調査を受ければ良いということになると考えられます。

結果的に、会社や事業の経営にとってはこれまで以上に「合法で必要な節税をした上で、
適切な納税を行う」ことが重要であると言えると思います。






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