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取引先が倒産した場合の貸倒損失の取扱いについて

2026年06月17日

経営財務部

こんにちは。
税理士法人 久保田会計事務所 経営財務部です。
今回は取引先が倒産した場合の貸倒損失の取扱いについてお話したいと思います。

近年、企業倒産に関するニュースを目にする機会が増えています。
帝国データバンクによると、企業倒産件数は高い水準で推移しており、建設業や製造業を中心に
厳しい経営環境が続いています。

しかし、その影響を受けるのは同業種だけではありません。

売掛金や貸付金を有する取引先が倒産した場合、自社の資金繰りや業績にも大きな影響を
与える可能性があります。

お客様から、
「取引先の破産手続開始決定通知書が届いたのですが、売掛金はどうなりますか」
といったご相談をいただくことがあります。

今回は、貸倒損失の基本的な考え方と実務上の注意点について確認してみたいと思います。


■ 貸倒損失とは
貸倒損失とは、売掛金や貸付金などの債権について、回収不能となった部分を損金として処理するものです。

ただし、「回収が難しそうだから」という理由だけで自由に損金算入できるわけではありません。

税務上は一定の要件を満たした場合に限り、損金として認められます。


■ 貸倒損失が認められる主なケース
税務上の貸倒損失は、法人税基本通達において主に次の3つに区分されています。

① 法律上の貸倒れ(法基通9-6-1)
会社更生計画や民事再生計画の認可、特別清算に係る協定の認可などにより債権が法的に
切り捨てられた場合や、債権者が書面により債務免除を行った場合には、その切り捨てられた金額を
貸倒損失として処理することができます。

② 事実上の貸倒れ(法基通9-6-2)
債務者の資産状況や支払能力等からみて、債権の全額が回収できないことが明らかになった場合には
貸倒損失として処理することができます。

ただし、この取扱いは債権の全額が回収不能であることが要件とされており、一部のみ
回収不能である場合には適用されません。

また、担保物や保証人による回収可能性がある場合には、それらに対する処分や請求を行った
後でなければ貸倒損失として認められない点にも注意が必要です。

破産手続終結後など、客観的に回収不能であることが明らかなケースが代表例ですが、
回収不能であることを客観的に説明できる資料を保存しておくことが重要です。

③ 形式上の貸倒れ(法基通9-6-3)
売掛金や工事代金の未収金などの営業上の債権について、継続的な取引を行っていた債務者との取引を
停止した後、相当期間弁済がない場合や、債務者との取引停止後に督促等を行っても
弁済が受けられない場合などには、一定の要件のもとで貸倒損失として処理できる場合があります。

なお、この取扱いは営業上の債権に限られ、貸付金などには適用されません。
また、形式上の貸倒れでは債権の全額を帳簿から除却するのではなく、将来の回収可能性に備えて
備忘価額として1円を残して処理することとされています。

実務上は要件の確認が重要であり、慎重な判断が求められます。


■ 処理の時期に注意
実務上よく見られるのが、破産手続開始決定通知書を受け取ったケースです。

通知書を受け取ると、債権の回収が困難になったと考えがちですが、破産手続開始決定があっただけでは
直ちに全額が貸倒損失として認められるわけではありません。

配当が行われる可能性もあるため、破産手続の進行状況や配当見込み等を確認しながら
判断する必要があります。

貸倒損失は金額だけでなく、「いつ処理するか」も重要な論点となります。


■関連して確認したい在庫の取扱い
取引先の倒産により問題となるのは売掛金だけではありません。

例えば、
・相手先へ預けている商品
・支給材
・金型等の資産 等が回収できなくなるケースもあります。

ただし、これらは売掛金とは異なり債権ではありません。

そのため、貸倒損失ではなく、棚卸資産の評価損や除却損等として検討する必要があります。

取引先の倒産時には、売掛金だけでなく、相手先に保管されている自社資産の有無についても
確認しておくことが重要です。


■ 実務上確認しておきたい資料
貸倒損失を計上する場合には、判断根拠となる資料を保存しておくことが大切です。

例えば、
・破産手続開始決定通知書
・民事再生関係書類
・債権放棄通知書
・督促記録
・内容証明郵便
・取引停止の記録
などが考えられます。

税務調査では、「なぜ貸倒損失として処理したのか」という説明が求められるためです。

いかがでしたでしょうか。

企業倒産が増加する局面では、貸倒損失の論点に直面する機会も増えてきます。
しかし、税務上は「回収できないと思う」だけでは損金算入できません。

貸倒損失が認められる要件や処理時期を正しく理解し、必要な資料を整理した上で
判断することが重要です。

取引先の経営悪化や倒産により債権回収に不安がある場合には、早い段階で顧問税理士へ
ご相談いただくことをお勧めします。





税理士法人 久保田会計事務所では、法人税や所得税等の税務申告だけでなく

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